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「ささやき いのり えいしょう ねんじろ!」 旧式の召還呪文を唱える。旧式だが伝統ある呪文である。 この呪文では神代のものが呼ばれると言われている。 が、落ちこぼれの魔術師がそんな呪文を成功させられるはずもない。 瞬間、爆発がおこった。 「なんだってのよ!」 爆発を起こした本人が叫ぶと煙の中から地獄の底から絞り出したような声が聞こえた。 「UREYYYYYYYYYYYYYY」 ぞくぞくとした感覚があたりの者たちに伝わって行く。 自分が呼びだしたモノだ、そういった意識が働いたのか、落ちこぼれの魔術師は勇気を振り絞った。 「あんた・・・名前は?私はルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエールよ」 煙の中の影が答える。 「お前が、私をよんだのか? そうか・・・私の名は・・・」 煙が晴れ、姿が現れる。 圧倒的な存在だった。そして続ける 「・・・荒木飛呂彦だ」
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アンリエッタの元に跪いた恰幅のよい男が、ぴくりと身を振るわせる。 「私は、今でもこの戦役は無益だと思っております。女王閣下。今からでも遅くはありませぬ。ぜひ出征をお考え直しくださいませ」 「それはなりませぬ。レコン・キスタと我々は、両雄あい成り立たぬ仲。どちらかが倒れぬ限り、どちらかの平穏はないのですよ」 この時期のトリステイン政府は、すでにレコン・キスタの征伐を国是江として掲げている。 「ヴァリエール公爵。いまさらあなた個人の兵役拒否をどうこう言うつもりはありません。ただ、確認したかっただけです」アンリエッタは続けて、 「その代わり、あなたの娘のルイズ。 あの娘を私に下さい」そう、一息に言い切った。 刹那の沈黙の後。 「なぜでございますか!」ヴァリエール公爵の怒号が王宮に響き渡った。 「あなたがたは、実の娘のことを本当に思っているのですね」アンリエッタは、ヴァリエール公爵の隣に跪いている女性に語りかける。 「エレオノール。あなたとあなたの父上が、無駄な殺戮をこのまないという本心を、私は疑うつもりはありません。ですが、いまは王国の危機、国家の大事なのです」 「ハッ。女王閣下。恐れながら、なぜにルイズなのでございますか? 直属の女官が必要ならば、わが家のルイズでなくともよいはずでございます。ちびルイ……ルイズを危険な目にあわせるつもりなのであれば、その代役をぜひ私、エレオノールにお任せくださいませ」 「何をいう、エレオノール!」ルイズの父親はそういったが、 「これは、ヴァリエール家としての総意でございます」エレオノールは、はっきりとそう言い切った。 「それは、今まで隠していましたが、ルイズが虚無の系統だからです」 「なっ。何ですと?!」ヴァリエール卿が目をむく。彼は今の今まで娘の系統を知らなかったのだ。 「失われた系統。欠けた系譜。始祖の系統。いずれもルイズの持つ魔法をうまく特徴付けています」 アンリエッタの事務的な口調が、ヴァリエール卿の表情を段々と蒼ざめさせていく。 「それでは、あいつがいつも魔法の失敗を爆発させていたのは……」 「はい、虚無の系統の発現ですわ」 エレオノールが静かに口を開く。 「女王様、私はルイズから聞きました。タルブの村で行われた決戦のこと、うわさの、光の玉のこと。ルイズの活躍のこと……」 真剣な表情のエレオノールとは異なり、アンリエッタは旧友の武勇伝を聞いている少女のような恍惚とした笑顔をしていた。 「ルイズの系統が『虚無』であるのであれば、なおさら姫様の申し出を受けるわけには行きませんわ。虚無はトリステインにとって、ていのいい駒。いわば切り札。ジョーカーにございます。ルイズを王宮にさしだせば、ルイズは今後戦争の渦中に身をおかなければならないでしょう。人としてではなく、ひとつの兵器として」 「いえ、違います。私は、トリステインの虚無を、ルイズを守るために言っているのです。げんに、以前、虚無の系統を、ルイズをかどわかそうとしたレコン・キスタの陰謀がありました。そのような卑劣なたくらみからルイズの身を守るには、魔法学院はあまりに無防備。ですから、私はルイズをわたし付きの女官としてルイズに王室の警備を与えたいのです」 「そうなのでございますか?」 「ええ、寒い時代ね。ルイズの身の安全を考えれば、許してくれますか?」 「これだけは誓っていただきたい」男の呟きが聞こえる。 「ルイズを危険な目に合わせない、と」 「わかりました。このアンリエッタ。誓いましょう」アンリエッタは水晶の杖を掲げ、誓約した。 ――――――――――――――――――――――――――――――――――――― ひとつの船の上に。二つの月の下で。 その男たちは不適に笑いあっていた。 「貴様がここまでついてくるとは思わなかったぞ。シェフールド殿」 「他愛のないおしゃべりはそこまでだ。確実にやってくれるのだろうな?」 青い月と赤い月。 白髪の盲目の男と、赤い髪の少年。 二つの月を象徴するかのように、二人は空船の甲板に立っていた。 「問題ない。『わたしたった一人で』できる依頼だ」 「自信に実力が伴っていればよいのですがね」 「ああ、大丈夫だ。今回は、貴様に『これ』をもらったからな。それにお前も協力してくれるのだろう?」 盲目の男は、丸い物体を取り出した。 月光に反射したそれは、銀色の反射光を出す。 ――――――――――――――――――――――――――――――――――――― トリスタニア魔法学院の一番大きな講堂に、アニエスの声が響きわたる。 「ひとつ、この戦は聖戦である。学生諸氏は勇んで我等が戦列に参加せよ!」 アニエスは先ほどから教壇に一人立って演説を行っていた。 それを聞くは魔法学院の生徒達。未だ年端もいかない少年少女たちであった。アニエスを中心に、銃士隊が数十名、集められたトリステインの生徒をにらめつけるかのように円陣を組んでいる。 その外側にコルベールら教師たちと、ルイズたち生徒が並ばされていた。 「やれやれ、学生までも動員するとは」 前列に並ぶオールドオスマンは、アニエスわざと大きな声で独り言を喋った。 教師陣がアニエスの通達--生徒から志願兵を募るというトリスタニア王室の決定--を伝えた時、教師陣には少なからぬ反対の声が上がった。だが、その声のいずれも弱く、アニエスが一言、 「アンリエッタ閣下の勅命である」といわれると誰しもも黙り込んでしまうのであった。 そのような教師たちの嘆きも、生徒達はあまり気にしていない風である。その証拠に、どこからか男子生徒の、のんきなおしゃべりが聞こえる。 「それにしても、見ろよあれ。近衛隊の隊長は剣を持っているぜ。メイジじゃないのかな」 「しらないのか、マリコルヌ。最近できた銃士隊ってやつで、隊員はみな若い女性の平民なんだ」 「なんだって、ギーシュ。若い女性なんて……それはうらやまし……じゃなかった、けしからんな」 「うむ。大変いやらしけしからん」 オールドオスマンはため息をついた。昨日のコルベールとのやり取りを思い出す。 『私たちはどうあっても生徒たちを戦場に送らなくてはならないのでしょうか』 『王命は絶対じゃよ。今回の勅は女王陛下の懇願という形をとってはいるがの。実態は変わらん』 『それはわかりますが……彼らトリステイン魔法学院は我々の生徒です。王室が教えているわけではありません』 『気持ちはわからないではないがの。じゃが、それ以上の発言は、王室への反逆とも受け取られかねない……察してくれい』 『……はい』 オールドオスマンは、どこか近くの男子生徒の声で現実に引き戻された。 「おいギーシュ、君は志願するのかい」 「ああ、兄上たちはすでに従軍している。ここで従軍しないのは一族の名折れだ。そういうマリコルヌは?」 「僕はもちろん参加するよ。前から海軍服にあこがれていてね……その、なんだ、下品なことをいうようだが……あれを女性が履いてくれるのを想像しただけで……『……』してしまってね……」 「そっすか……」 「フゥ~~。だれか可憐な女性が、あのすばらしいセーラー服を着てくれないかなぁ~?」 そこまで聞いて、オールドオスマンとコルベールは同時にため息をついた。いったいこの学院はどうなってしまうのだろうか。 「ちびルイズ、あなた結婚しなさい」 トリステイン魔法学院に来たエレオノールは、ルイズの部屋に入ってきて開口一番、そういった。 「あなた結婚して婿をとりなさい。一刻も早く。そうすれば、アンリエッタ姫様も、そういうことならと、あなたを無理に近習にしようとはしなくなるでしょう。ルイズの庇護はヴァリエール家が受け持ちます」 「な、どういうことだ?ルイズ」露伴が言った。 「アンリエッタ陛下は、ルイズの『虚無』について、非常に深い憂慮をされているわ。陛下はルイズを近習におくことで王宮の庇護を受けることを思いついたけど」どうやらヴァリエール家では、王宮の案は不満があるらしい。今のトリステイン王国はレコン・キスタとの戦時である--戦時において、女王や近習は戦争のもっとも俯瞰しやすい位置にあることが多い。それはすなわち、死の危険にさらされやすいということを意味する。戦況の流れによっては、近習のルイズが戦の最先端の場に立たねばならない危険がが常ならぬ確立で発生するのだ。 「そんな、姉さま。まだ私は結婚なんて考えていないわ」 「なに言ってるの!あなたの年では貴族は結婚してもよい年頃よ!それを『まだ』ですって?生意気言うのも大概にしなさい!」 「だって……好きでもない人と結婚なんて、私……そんなに結婚が好きなら、エレオノール姉さまがまた結婚すればよいじゃ……あ……」 「なにか、言った?」 空気が凍った。 「いえなんでもないですお姉さまなにもいってないです……あいひゃひゃひゃひゃ!」 エレオノールはルイズの頬を思いっきりつねる。 「それくらいにしてやれ、エレ」 「ブチャがそこまで言うのなら、仕方ないわね」ブチャラティの言葉に、エレオノールはルイズへの攻撃をやめた。 ブチャラティとエレオノールが出会った日のこと、すなわち、ルイズとシエスタが零戦のことでアカデミーに足を運んだ日の晩に、ブチャラティとエレオノールは決闘を行っていたのだ。 実に激しい戦いであった。実際にその現場を見るものは、まさに『竜虎相打つ』という比喩を地で行っていた戦いであったと証言している。エレオノールが魔法で攻撃を仕掛ければ、ブチャラティはスタンドで柱を壊して応戦する。闘いはいつしか、夕闇があけるまで続いた。決着はついたのか?勝利の女神はどちらに微笑んだのか?それは誰にもわからない。長い時の後、残ったのは、アカデミーの研究棟の残骸と、傷だらけで連なり、横たわるエレオノール、ブチャラティであった。 そう、二人は「戦友」と書いて「とも」と呼ぶような関係になっていたのである。 「でも、あなたは見合いをしなさい。わかったわね?」エレオノールはルイズの鼻に人差し指をおったてて言い放ったのだった。 ――――――――――――――――――――――――――――――――――――― エレオノールがやってきた次の日。今日は虚無の曜日、授業はお休みである。 ルイズと露伴、ブチャラティは、ルイズの部屋で休日を満喫していた。 「ルイズ、何だが部屋の外がおかしくないか?」 そう言ったのは岸辺露伴だった。窓にかかったピンクのカーテンが、風に揺られて外にはみ出している。 「そう? こんな真昼間ですもの。ギーシュあたりが決闘しているんでしょ」 ルイズはそう思ったが、露伴に、ブチャラティは違う意見のようだ。 「いや、ルイズ。何かが起こっているぞ。窓から中庭の様子が見られるが、生徒たちが集まっている。ここからだと、おびえているようにも見える」ブチャラティが言った。彼は窓辺から上半身を乗り出す。彼が指差した、中庭が見渡せる窓の先には、三十人ほどが集まって中央塔に移動している様子が見えた。 「様子を見に行ってみようぜ」 露伴はルイズの部屋を飛び出した。 「ルイズ。君はどうする?」 「そうね、暇だし。ブチャラティ、私も行こうかな」 「ならば、露伴に追いつこう」 そういって、二人はルイズの部屋のドアを開けたら、 露伴がうつぶせに横たわっていた。露伴の手の甲はぴくぴくと痙攣している。 「どうした、露伴?」ブチャラティが露伴の背に手をかけると。 ピョン。 一匹の美しくも青い蛙がブチャラティの手に乗った。 「危ない!」ルイズが、持っていた杖でその蛙を乱暴に叩き落とす。 「どうした、ルイズ」 「ブチャラティ、いま蛙が触ったとこ、なんともない?急いで水で洗い流しなさい」 ふと見ると、ブチャラティの手がやけどをしている。ルイズは図鑑でその生物を知っていた。 「アレはヤドクガエルの一種。下手に触ったら命にかかわるわ」 「おい、露伴、大丈夫か?」 ブチャラティが急いで露伴を起こそうとするが、うまくいかない。 ルイズも手伝って、ようやく露伴を仰向けに向けさせたら、 彼の表半身は、一面ヤドクガエルに覆われていた。 急いで蛙たちを払いのける。露伴の意識は既にない。痙攣している。 「しっかりして! 急いで先生に報告して水の魔法をかけてもらわないと!」ルイズがあせる。「落ち着け、ルイズ。妙だと思わないか?部屋の中にこれだけの毒ガエル。何らかのスタンド攻撃と思っていいだろう」 「じゃ、じゃあ!」 「露伴をできるだけ早く先生の下へ連れていことも必要だが、この意味不明な攻撃をどうにか『いなすこと』を考える必要がある。特にわれわれが再起不能になると、露伴も助からないと見てよいだろう。だが、まずは『落ち着け』」 ルイズは、自分の使い魔の迫力に思わず後じさった。だが、それだけでは悔しいので、両手に力こぶを作って返事だけはした。「わ、わかった……がんばる」 「よし、そのいきだ」 「で、具体的にどういった対策をとるの?」 「自分の姿を見せずにヤドクガエルを使ってきているところを見ると、敵スタンドは遠距離タイプの可能性が高い……それならば、敵の本体を見つけだしてたたくのが定石だろう」 「でも、そんなことできるの?」 「『できるか』『できないか』じゃない。やるしかないんだ」 「そうね、私も覚悟を決めるわ」ルイズは大きく息を吸い込んだ。 「そうだ、ルイズ。以前君が試していた虚無の魔法。アレが使えないか? 確か、『ディスペル』とかいったな……」 「どういうこと?」 「もしこの蛙自体がスタンド本体で、毒がスタンド能力であるのならば、わずかな可能性とはいえ、君の虚無の魔法がスタンドに利く可能性がある。何も敵本体を倒さなくても、この場で露伴を助けることができる」 「わかったわ……」ルイズは自身の小さな口で、一生懸命詠唱を始めたのであった。 話は直前にさかのぼる。 『落ち着け』といったブチャラティも、内心ではかなり動揺していた。 二人はとりあえず露伴をルイズの部屋に残し、廊下へと出た。 「くれぐれも慎重にな」 「ええ……ッ、あそこ!」下へと続く階段の壁に、一匹の蜘蛛がへばりついていた。大きさは人の握りこぶしくらいある。 「なにかしら。いかにも毒があるっていう感じの色合いだけど……」 ブチャラティはスタンドを発現させ、壁の敷石を握り拳の分だけ切り取った。それを蜘蛛に向け投げつける。蜘蛛は瓦礫につぶされ、ドメチッと言う奇怪な音をさせてつぶれた。 ブチャラティは近づいて蜘蛛に触れた。反応はない。 「問題ないみたいね」ルイズがほっとする。 「とりあえず中央塔へ行くぞ」 そういって階段を折り始めたブチャラティだったが、とたんに体制を崩した。 「大丈夫?」とっさにルイズが支えるも、一緒に崩れ落ちてしまった。 「ブチャラティ!あなたの足!」 彼の足からつくしのような細長いきのこが何本も生えてきている!その茸はウジュルウジュルと蠢きながらも成長を続けていた。 「大変!早くあなたのスタンド『スティッキィ・フィンガーズ』で除去して!」 「ルイズ、俺に近づくな!」 そういわれたルイズは、びくりと身を震わせた。 「正確には『俺に近づくことで身を下に下げるな』ということだ」 「え?」 「みろ、今のこの茸は生長していない……が、こうすると生長する」 ブチャラティが足を階段を下に向けると、ブチャラティの足の茸が生長をはじめる。彼ィが足を下げるのをやめると、茸の膨張も止まった。 「俺はかつてこの手のスタンドに極めてよく似たスタンドに出会ったことがある。そのスタンドは、『人に寄生し、下に移動すると同時に発現を始める黴』だった。だが、これは……?」そのとき階段の下から足音が響き渡った。 コツコツ…… 「誰か来るわ!」 「慎重に構えろ、呪文の詠唱の準備をしておけ……」 そのとき、階下から少年らしき者の声が鳴り響いた。 「さすがはブチャラティといったところか……かつて『グリーン・デイ』と対戦しただけのことはある……」 その声にはブチャラティには聞き覚えがあった。 「ローマのコロッセオ前であった少年……か?」 「僕の名はドッピオ。パッショーネの『ボス』の部下といえばわかるかな? 『コロッセオでの精神の入れ替わり』の時、ボスの体にいたのが僕さ」 「そうか、貴様、ボスの分裂した精神の片割れか!」 「人聞きの悪いことを。僕はボスのもっとも忠実な部下だ」 「これはお前のスタンド能力か?」 「……『冬虫夏草』だ」 「何を言っている!」 「君の疑問に答えよう。そうとも言う……君の足に生えている茸は、かつての『グリーン・デイ』と同じ性質を持った茸でね……宿主が下に移動すると発芽する性質を持つんだ……僕がその茸の生命を生んだ」 「『生んだ』だと?そのような能力があるのは、俺はかつて一人しか知らない!」 「そう、『新入り』の能力、『ゴールド・エクスペリエンス』だよ」 金色の外殻に、黄金色のシルエット。 それは、まさにブチャラティがよく見知ったスタンドのビジョンであった。 「なぜ貴様がその能力を持っている!そのスタンドはジョルノが本体のはず!」 「今は僕が主だ。そして……」ドッピオが右手を振ると、そこに赤いさそりが出現した。「このクソッたれの能力が僕とボスの野望をもう少しのところで断ち切ったんだ」 「なるほど……お前はコロッセオでミスタに撃たれて死んだものと思っていたが……貴様もこの世界に喚ばれて『復活』したくちか……」 「直接の恨みはあの新入りにあるが、この際ブチャラティ、君にも復讐を果たしておこう」桃色の髪をした青年は、そういってブチャラティの五メイル手前に足を踏み出した。 「どうする?岸辺露伴を助けたいのなら、君たちは僕を倒して下の階に進まなくてはならない」 「そうだな……そして、俺が階段を下りることはできない……とでも言うと思ったか?」 ブチャラティは一気にドッピオの元へと階段を駆け下りた! 「馬鹿なッ!」 「タバサッ!」ドッピオとブチャラティの叫び声は同時であった。 階段の外壁を破壊して侵入してくる竜が一匹。その上に青髪の少女が乗っていたのをブチャラティは見逃さなかった。 タバサは、ブチャラティの足に『ウィンディ・アイシクル』の魔法をかける。彼の足が見る見る凍りつき始めた。だが、その足でも、ブチャラティはドッピオの目前に移動することができた。 「冬虫夏草は暖かくなると発芽する!逆に言えば、寒い冬の時は、発芽しないのだ!」ブチャラティはゴールド・エクスペリエンスの首根っこをつかみ、スタンドの拳をその肉体に叩き込んだ。胴体に三発。両腕に二発ずつ『ジッパー』をつりつけたところであのスタンドは消滅した。 「なかなかやるじゃないか」そう、不敵に笑うドッピオの顔には、ブチャラティは焦りの表情を見出せなかった。むしろ勝者の余裕ささえ感じる。 「ならば、ひとまず退却するか……」 そういった直後、ドッピオの姿はブチャラティたちの目の前から掻き消えた。 「大丈夫、ブチャラティ?」 「無事?}駆け寄る二人の少女の声が聞こえないほどに、ブチャラティの頭脳にとある疑問が駆け抜けていった。 「……何かおかしい。つじつまが合わない」ブチャラティにとって、この感覚は前にも味わったような気がする…… あれは…… 「何が?今は露伴が危ない」タバサが言った。 それにつられてルイズも叫ぶ。「それにここにいたんじゃ他の生き物の攻撃にさらされる可能性がどんどん高くなっていくわ。さっさとここから出ましょう」 この奇妙な違和感……サン・ジョルジョ・マジョーレ教会での感覚か……? 「……それだ」 「どうしたって言うの?この状況下では他の生徒も被害になっている可能性が高いわ。そうなると水魔法の使える先生も無事かどうかわからない。いいえ、仮に無事であったとしても、他の生徒の治療でとても忙しいはずだわ」 そうかッ! 「おかしいと思っていたッ! これだけ生物の攻撃を受けていながら他の生徒の叫び声がまったっくないことに気がつくべきだった!これは真実ではない!幻覚か何かの類だッ!」ブチャラティがそう叫ぶと同時に。ルイズの姿がとけ去った。いや、ルイズの残像を中心に廊下全体が解け始めている。ブチャラティは、意識が浮かび上がるように、奇妙な感覚で意識を失っていった。 「……ハッ!」 「……ようやく、気がついたようね」ルイズが言う。 ここはまだルイズの部屋。調度品が生クリームのように溶け出している。 ブチャラティとルイズは対面でテーブルに座っていた。二人はテーブルに突っ伏すような形で、動けなくなっていた。 「これは……いったい?」そういったブチャラティは眠気で意識が飛びそうになる。 「わからないわ……でも、これが敵スタンドの攻撃なのは確実……そして露伴が倒れているのも真実よ……」 「そうか……ならば……」 『スティッキィ・フィンガーズ……』 「なに?」 「ちょっとの痛みは我慢しろ」 ブチャラティはそういうと、テーブルの真下にジッパーを取り付けた。 石畳に取り付けられたジッパーは音もなく開いていく。 「え、ちょっと……」ルイズがそういうまもなく、二人はテーブルごと下の階に落ちていった。 「……ぃいたぁあい!」 「この下に落ちた痛みは現実のようだな」 「当たり前よッ!このむかつき!絶対に幻覚のわけがないわ!」ルイズはブチャラティを下敷きに、内股でうずくまるような体勢でかがんでいる羽目になった。頭をさすっている。どうやら、ルイズは頭を打ったらしい。ブチャラティは腰をさすっている。二人が落ちた先は、誰も使っていない部屋になっており、ところどころ埃がたまっていた。 「ところで、俺の見た幻覚の中にタバサが出てきたんだが、もしかしたら彼女もスタンド攻撃を受けている可能性がある」 「そう。なら、彼女と合流するのは結構いい案かもしれないわ。こちらの戦力にもなるし、案外二人だけよりも早くこの寮を脱出できるかも」 ルイズはそういうと、制服についたほこりを手で払いのけた。そのまま勢いよく立ち上がる。 「確かタバサの部屋は私のいっこ下の階のはず……この階よ」 「なら、いこう」 二人は部屋を出た。あたりをうかがう。すると、廊下を隔てて女性との叫び声が聞こえてきた。 「助けてッ――」 ルイズは、背後でブチャラティが戦闘体勢に入るなか、声がした方向のドアに向かって杖を振った。『アンロック』の魔法である。ルイズは、タルブの村での戦いの後、基礎の魔法ならば使えるようになっていたのだった。 部屋の内部は不気味なほど静かだった。 「誰もいないじゃない」 「いや、クローゼットが少し空いているようだが……」 「そう?私の方角からだと、ちょうど逆光になって見えないわ。それになんだかここ、直射日光が入ってきているとはいえ、妙に明るいわ」 「うん。気をつけよう」 クローゼットを開けると、果たして一人の女子学生が中に潜んでいた。うずくまってないているようだ。ちょうど暗がりに潜んでいる。顔だけ見える。 「シクシクシク……」 「あなたケティじゃないの?どうしたの?こんなところに隠れているなんて。あなたもやっぱり蛙とか蜘蛛とかに襲われたの?」 「虫がぁ……」 「虫?」 「むぅしぃがぁ~。わぁたぁしぃをたぁべぇるぅのぉ~」 開かれたクローゼットから現れたケティの背中には、あろうことか、カタツムリの殻が大きくのっかかっていた。彼女の背中と、まるで溶接しているかのように接着している。
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ここは魔法学院にある教室の内の一つ。 ルイズ達は、ここで『土』系統の魔法の講義を受けることになっている。 後ろの壁に様々な使い魔が並んでいる。サラマンダー、ネズミ、モグラ、ヘビ、ドラゴン… 召喚が終わってから初めての授業、本来なら使い魔の見せ合いでかなり騒がしくなるはず。 だが、教室はとても静かだった、ある種の異様な雰囲気に包まれている。 その原因は何故かルイズの傍らに居る使い魔。 「・・・・・・・・・・・・・・・」 ただ立っているだけなのに、周囲に奇妙な威圧感を撒き散らしている 教室の空気がやたらと重い。ルイズの周りの空気は更に重く、隣に居る生徒達は物凄く不幸だった。胃に穴が開くかもしれない 授業が早く終ることを殆どの生徒達が祈っていた それはルイズも例外では無い、が。 (お腹減った・・・・・・) 早く終わってくれ、と祈る理由は彼女だけ全く別。 寝坊した結果、朝食に間に合わなかった。故にルイズはお腹が空いていた 頭には昼食の事しか無く、ペットショップの威圧感など全く感じていない。ある意味大物である 生徒達が威圧感に苦しみ、ルイズが空きっ腹に苦しんでいる時 「ミス・ヴァリエール、あなたの使い魔ですが・・・・・・何と言うか・・・・・・外に出してもらえないでしょうか?」 空気を掻き乱す雑音が全く無い空間は、教師にとってある意味理想的である が、担当教師のミス・シュヴルーズは空気の重さに耐えられる程の神経を所有していなかった とうとう耐えかねて発言した途端、教室に妙な安心感が漂う。しかし。 ギロッ! ペットショップからガンを飛ばされた! シュヴルーズの細い神経は千切れる寸前になりかける 口から悲鳴が漏れかけるが、貴族としてのプライドを限界まで使用し何とか抑える。強い女性である。 言い知れぬ敗北感を感じながら、先程の言葉をスルーしてそのまま授業を続けようとする。 だが、彼女の不幸は更に続いた。 「え・・・は、はいミス・シュヴルーズ!な、何でしょうか!?」 テンパったルイズの声 昼食の事で頭がいっぱいいっぱいだった彼女は、シュヴルーズの声を全く聞いていなかったのである! そんなルイズの顔を苦虫を噛み潰したような目で見るシュヴルーズ。 彼女は『教室から使い魔と一緒に出て行ってください』と伝えたかった・・・・・・本当に伝えたかった! 「・・・・・・・・・・・・・・・・」 強烈な威圧感に続いて殺気まで放ってくるペットショップがそれを許さない 「え。えーっとミス・ヴァリエール、この石の『錬金』をやってもらいましょうか」 代わりに取り敢えず錬金をやらせようとしたが 彼女がそう口にした途端、教室の生徒の顔が恐怖に染まった。 生徒達はペットショップの威圧感を忘れてシュヴルーズに抗議する! 「先生、ルイズにやらせるのは止めてください!」 「爆発するんですよ、先生!」 「『ゼロのルイズ』に魔法を使わせるなんて『許可』しないで!」 だが、被害に遭ってない彼女は何で生徒達がそんなに怯えるか『理解不能ッ!』 それよりもペットショップが怖い彼女は、とっととルイズに錬金をやらせて授業を終わりにさせたかった。 「皆さん静かに!ミス・ヴァリエール、この石の『錬金』をやってごらんなさい!」 教壇へ向かっていくルイズとペットショップ。 それを見る生徒達は、何故に使い魔がルイズに着いて行くのか?と疑問に思った しかし今重要な事は疑問を解くより先に、一刻も早く自分の身を守る事!急いで机の下に避難したり、教室から脱出する! それを尻目に見ながらルイズは杖を掲げて、石の錬金を始めようとする。 彼女は失敗して爆発する事など毛の先ほども考えていなかった。 腹が減って思考力が減退していたのもあったが、サモン・サーヴァントを成功させたのが自信になっていたからである ペットショップの召喚により間違った自信が付いてしまったルイズ 万全を期して、石に自分の限界を超える勢いで魔力を込めて詠唱を始める そして――――――――巨大な爆発が起こった。 凄い爆発が起こった、石が、先生が、その他諸々が吹っ飛んじゃった 「・・・・・・・・・ちょっと失敗しちゃったようね」 あはは、と笑って済ませようとしたが、顔の引き攣りを止める事が出来ない。サモン・サーヴァント成功の自信が崩れそうだわ。 と、そこで私は気付いた 「あれ?」 至近距離で爆発が起きたのに、私無事だ。埃一つ付いてない 机の下に避難していたクラスメイトも黒い煙を吐いていたりして無傷じゃないのに。これってどういうこと? 疑問に思った私は周囲を注意深く見てみる、粉々になった石の欠片、気絶した先生、粉々になった――― 「これって氷?」 床に氷が散乱している、誰かが『水』の魔法でも使ったのかしら? ――――思い出した。今朝、滅茶苦茶に粉砕された廊下にも氷が落ちてたわね それにキュルケが、―廊下の窓や床もアンタの使い魔が滅茶苦茶に―とか何とか言ってたような。ムカツクからあまり思い出したくは無いけど 隣のペットショップを見る・・・・・・こいつも無事ね。となると、こいつが何かやったから私も無事なのかしら? 「この氷出したのってあんた?」 床に落ちている氷を杖で指しながら質問してみる私。だけどペットショップは何か考えてるみたいで私の質問に答えない。ご主人様を無視するとは良い度胸してるわね ・・・・・・・・・まあそんな事は別にいいや、爆発させた罰として教室の後片付けを命じられそうだし、今の内に箒と塵取りをペットショップに持って来させよ。 あぁ、それにしてもお腹減ったなぁ 私は女の言っている事を聞いていた。すると様々な事が分かった 驚くべき事にこの世界には『魔法』があると言う事だ スタンドとは違い、一つだけでも色々なことができるようだ。 マスターの部屋に侵入した二人の女は新手のスタンド使いかと思ったが、どうやら違うらしい。あの時あの二人が使ったのが『魔法』と言う事か (何で驚く?)(この世界?) ・・・・・・・・・・・・疑問が浮かぶのはこれで何回目だ?さすがにウンザリする。 考えても分からない事なので、無理矢理疑問を忘却して前を向く。 「え。えーっとミス・ヴァリエール、この石の『錬金』をやってもらいましょうか」 女が何かを言っている。『錬金』。あの石を金属に変えろと言う事か マスターが立ち上がって前に歩いていく、私もそれに続く。 「先生、ルイズにやらせるのは止めてください!」 「爆発するんですよ、先生!」 「『ゼロのルイズ』に魔法を使わせるなんて『許可』しないで!」 黙っていた奴等が何かを喚いている。『ゼロのルイズ』とは?何をそんなに慌ててるんだ? そして、マスターが杖を掲げて、何かを唱え始め――――私の本能が警鐘を鳴らした!『危険!』『危険!』『危険!』 理由を考えるより早く!本能が命ずるままにスタンドを使い、マスターと私を氷の盾で包む! ドグォォォォン! 一瞬後に爆発! 強烈な爆風が急造の氷の盾を粉々にするが、辛うじて私とマスターは無傷だ。 そして『理解』した。なるほど・・・・・・マスターが魔法を使うと爆発するから奴等はあんなに慌てていたのか。 奴等の言動から考えるに、マスターが爆発を起こすのは1度や2度の事では――――― (違う!)(マスターは!)(マスターの能力は!)(マスターの『スタンド』は!)(『世界』を―――) 「ペットショップ!!!あそこにある塵取りと箒持って来て!」 いきなりのマスターの声に意識が覚醒した。顔を上げるとマスターの怒ったような顔 もう少しで何かを思い出せそうな気がした、が。 自身の思考活動を優先するより先に、マスターの命令を優先させる事が重要だと判断 私は、マスターが杖で指し示す用具入れに向けて飛んで行った ・・・・・・この後、掃除の大部分をペットショップがやらされる事になったのは割と関係無い蛇足である
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00464_創造神クリエール能力 限界突破 必殺技:天恵・夢想乱舞 ゲームオリジナルカード 00464_創造神クリエール/コメント 00464_創造神クリエール 創造神 00464 創造神クリエール (そうぞうしんくりえーる) 勢力・陣形 タイプ コスト 基本技 創造五皇陣・双 天 6 敵全体を攻撃 補助効果を打ち消すさらにランダムに味方の常時効果を復活させる【威力120】 能力 ※計算上の数値で表を埋めています。万が一間違いがある場合はコメントよりご報告願います。 初期ステ Lv 0 HP 800 攻 495 防 590 速 125 5 880 519 619 126 10 960 544 649 127 15 1040 569 678 128 20 1120 594 708 1301段階突破 20 1185 634 753 130 25 1265 658 782 131 30 1345 683 812 132 35 1425 708 841 133 40 1505 733 871 1352段階突破 40 1570 773 916 135 45 1650 797 945 136 50 1730 822 975 137 55 1810 847 1004 138 60 1890 872 1034 1403段階突破 60 1955 912 1079 140 65 2035 936 1108 141 70 2115 961 1138 142 75 2195 986 1167 143 80 2275 1011 1197 1454段階突破 80 2340 1051 1242 145 85 2420 1075 1271 146 90 2500 1100 1301 147 95 2580 1125 1330 148 100 2660 1150 1360 150 このページの先頭へ 限界突破 限界突破 Lv上限 コスト HP 攻 防 1段階 40 7 +65 +40 +452段階 60 8 +65 +40 +453段階 80 9 +65 +40 +454段階 100 10 +65 +40 +45 必殺技:天恵・夢想乱舞 効 果 技Lv 威力 敵全体を攻撃 補助効果を打ち消す さらに味方全体の常時効果を復活させる 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 180 186 198 204 216 222 234 240 252 270 技ランク 補 足 H・SP・極(コスト6) スクショがあれば貼る 編集 この技の説明 / この技の威力一覧 / この技を持つカードの一覧 このページの先頭へ ゲームオリジナルカード 討伐イベント「天空大決戦」(フロンティア:2014年9月23日~9月30日)期間に 「討伐ポイント」の獲得数ランキングで、1~100位、300位、500位、777位を 獲得したプレイヤーに配布される期間限定カード。 3425_創造神クリエールとイラストは同じのアナザーで、背景、タイプ、ステータス、基本技、必殺技が異なる。 フロンティア 実装日:2014年9月23日 フロンティア+ 実装日:- このページの先頭へ 00464_創造神クリエール/コメント その時点での最新SPをも超える性能を持っていた今までのマラソン100位報酬PRと比較すると、ちょっとわかりやすい強さに欠ける - 名無しさん 2014-09-24 05 03 51 十分すぎるだろ - 名無しさん 2014-09-24 08 36 32 全体霧散ならPR地ムジのが強いし、神具復活なら天バラについてる。そして100以内に入るような奴はその両方を持ってる。その上天属性に天バラを入れる以上、同じ天属性を入れるのはリスクになる。カード単体で見れば強いかもしれんが、使い道を考えると誰得状態。 - 名無しさん 2014-09-24 09 21 48 現状ではあるが、20位前後だけど天バラ持ってねーわ・・・ - 名無しさん 2014-09-24 21 35 14 良かったな。お前みたいな奴ならこのカードにも使い道があるだろう。頑張って100位以内目指して走ってくれ。 - 名無しさん 2014-09-24 22 21 11 まぁキリ番でゲットできたらラッキー、程度の性能でしかない。100位以内を目指すだけの価値は無い。 - 名無しさん 2014-09-24 09 22 59 スポットにキチったW頑健配置すれば、正面単体しかない相手なら完封できるな。・・・それぐらいしか用途を見出せんが - 名無しさん 2014-09-24 09 33 28 薙ぎ貫通がはびこっている時点でこのスロットとスロット効果は微妙すぎるんだよなぁ・・・。もう少し昔ならかなり強かったんだろうけど・・・ - 名無しさん 2014-09-24 16 24 47 某所ではEX1~3章戦では猛威を振るうのではと予想されてたな。 - 名無しさん 2014-09-26 02 16 49 国士前提な気もするがな・・・・ - 名無しさん 2014-09-26 18 09 58 1~3章にそんなに強い無属性っていたっけ?無サイガぐらいしか思い浮かばんのだが… - 名無しさん 2014-09-26 19 10 46 まるでこいつを使えと言わんばかりの塔レギュが来たな…1~3章カードだけでは国士付けたこいつに勝つのは相当厳しそう。…ただ、こいつをレベル100まで育ててた人いるんだろうか…? - 名無しさん 2014-10-12 21 03 18 手に入れた中で国士を付けたやつがいるかどうかも疑問か。課金者にはあまりめぼしいカードじゃなかったみたいだし - 名無しさん 2014-10-13 01 26 52 後は組ませるカードでいいのがいるかどうかだな。全体で合わせたいけどあまりよさそうなのがいない - 名無しさん 2014-10-13 01 29 14 壁運用なら別に全体で合わせる必要無いし気にしなくて良いんじゃない - 名無しさん 2014-10-13 01 32 56 30コス戦だから3~4人PTになるだろうし、むしろ全体攻撃では合わせない方がいいだろうな。あくまで壁兼サポートキャラと割り切って使うべき。 - 名無しさん 2014-10-13 02 27 22 それもそうか。対応としてはSP光龍王とかの正面ガー不系で削れるし何とかなりそうかというかざっと見たけど全体って技帝サイガくらいしかいなかった。むしろ芝の方が厄介そう - 名無しさん 2014-10-13 02 34 16 名前 ステータス/技威力等の追加掲載依頼は以下↓↓にご記入ください コメントの最初に、カード名として【 [[00464_創造神クリエール]] 】を入力(【 】内をコピペ)してください (ステータス掲載用コメントは全カードで共有します。カード名を入れないと、どのカードのステータスか判りません)。 Lv20 HP952 功624 防528 速124 - 10214_武神将ヘルマティオ 2015-02-02 18 11 01 名前 このページの先頭へ
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前ページ次ページ帝王(貴族)に逃走はない(のよ)! 199X年 世界は核の炎に包まれた! 地は裂け、海は枯れ、あらゆる生命体が絶滅したかにみえた…… だが、人類は死滅していなかった!! その世紀末の世に築き上げられた巨大な陵墓に立つのは二つの極星。 北斗の救世主と南斗の帝王。 互いに奥義を尽くした中、力が上回ったのは北斗の男だった。 だが、勝負が決まったとはいえ南斗の帝王も退きはしない。 「俺は聖帝、南斗六星の帝王!ひ…退かぬ!!媚びぬ、省みぬ!」 自由を奪われた脚で一歩前に踏み出す。 男を支えている物は、愛と情けを捨て去ってきた己の生き様。 そして帝王としての意地とプライド。 司る星は将星。親も友も持たぬ独裁の星。 それ故に、ここで退けば己の全てを否定する事になる。 「帝王に逃走は無い!!」 そう咆哮をあげると、鎧を奪われ、翼をももがれた鳳凰が残された腕を使い天空へと飛んだ。 目指す獲物は胸に七つの傷を持つ男。 南斗聖拳と対をなす北斗神拳の正統伝承者にして、この帝王が対等と認めた唯一無二の相手。 両雄並び立たず。 二つの極星が激突した時、落ちていったのは南十字星だった。 受けた技は北斗有情猛翔破。 肉体の内部からの破壊を真髄とする北斗神拳において苦痛を生まぬ有情の拳。 その技を受けたからこそ、あえて聞いた。 愛や情けは哀しみしか生まぬ。それでも哀しみや苦しみを背負おうとする、と。 そして、北斗の男の言葉で今まで忘れ去っていた物を思い出した。 それと同時に完全に負けたと納得してしまったが、悔いなど微塵も無かった。 南斗乱るる時、北斗現れり。南斗の宿命を断ち切ろうとして、全身全霊を以ってして北斗神拳伝承者と闘い敗れたのだ。 だが、唯一悔いがあると言えば、あの大きなぬくもりをもう感じる事が出来ない事だろうか。 ――憑き物が落ちた。 巨大な陵墓の下で見守る、無数の兵士や子供達でさえそう感じたかもしれない。 死に行く場所へと歩く帝王の顔からは険が消え、まるで子供の顔のようだと言ったのは誰であったであろうか。 「お師さん…もう一度……ぬくもりを……」 消えていきそうな意識の中で思い出す事は、厳しくも優しかった南斗鳳凰拳先代伝承者オウガイとの修行の日々。 どんな辛い修行にも耐え、あの大きな手、大きなぬくもりに抱かれるために鳳凰拳を覚えたと言っても過言ではない。 15歳になった時のあの忌まわしき出来事以来、ずっとそれを忘れていた。 死の間際だからこそ思い出せたのかもしれない。だが、それも直に終わる。 せめて子供のころの記憶を持って、天に、我が偉大なる師オウガイの元に還ろう。 オウガイの元へ行けるのであれば、死ぬのも案外悪くは無い。 だが、闇に身を任せ、完全に同化させる寸前にその世界から引き戻されたような気がした。 第壱話『ゼロと帝王』 気が付けば無意識に身を起こしていた。 「………っぅ」 身を起こした時に僅かに上体に痛みが奔ったが些細な物だ。 身体を見回したが、北斗神拳奥義『天破活殺』によって浮き出た秘孔の位置も消えている。 驚くべき事は、自由を奪われたはずの脚が再び動くようになっていた事だろう。 額に違和感を感じ手を当ててみると包帯が巻かれていた。 確かに額から流血はしていたはずだが、そうなってくると誰かに手当てされたという事になる。 「……だが」 額の傷は別に問題ではない。問題なのは北斗有情猛翔破によって致命の秘孔を突かれたはずなのに、何故生きているかだ。 苦しみを生まぬとはいえ、身体を内部から破壊する必殺の北斗神拳を受けたのだ。 外科的処置では対応する事はできないし、対応するには北斗神拳しか無い。 「……まぁいい」 どちらにしろ、考えた所で分かりはすまい。 窓から差し込む日の光に釣られて外を見たが、世紀末の世では見られない光景がそこにはあった。 透き通るような青空と鬱蒼と茂る草原だ。 核の炎で消え去ったはずの、あの少年時代にオウガイと共に過ごしたような風景が。 ここが天かもしれぬ。 消し飛んだはずの光景と死んだはずの肉体が動いている事から、わりと本気でそう思いもした。 が、呼吸を整えてみると、紛れも無く生きている事が実感できる。 南斗聖拳も根の部分は北斗神拳と同じである。 流派によって多少の差異はあるだろうが、南斗鳳凰拳や南斗弧鷲拳は闘気よって手刀や突きの破壊力を増大させている。 闘気を用いれば鋼鉄すら引き裂く事が可能であるし、また同じように闘気でその鋼鉄をも引き裂く拳をも僅かな傷で防ぐことが出来る。 闘気とは言い換えれば生命エネルギーと言ってもいい。 とにかく、闘気を纏えるという事は死んではいないという事だ。 本調子とはいえない体で部屋の外に出てみたが、やはり見知った光景ではない事が容易に伺える。 日の入り具合からして、朝というところだろうか。 少なくとも、周りに人の気配は感じられない。 暗殺拳の使い手である以上、気配を消す術と察知する術には長けているが、これならば警戒する必要も無かろう。 もっとも、帝王がそのような事をするなどありえないので、元からするつもりもなかったが。 一通り歩いてみたが、どうやらこの建物は四つの子塔と一つの本塔。 合計すると五つの塔とそれを繋ぐ通路から構成されているようだった。 建築には興味は無いが、それでも西洋の、どちらかというと古い感じのする建物だという事は分かった。 それともう一つ。 「ふん……この場所は学校のようなものという事か。ならばなおの事、解せぬな」 歩きながら特に興味もなく言い捨てたが、半円形のホール状のような部屋と、その中心にある教壇と黒板を見てそう判断した。 幼少の頃から修行漬けだったので特に行く機会も無かった場所だが 彼にとっての教師とはオウガイであり、教室も自然の中という環境だったので、感慨という物は無い。 それよりも、何故学校などという場所に居るのかが問題だろう。 最後の本塔へと近づいたが、ここまで来るとさすがに人の気配を感じ始めた。 結構な数の使用人……メイドというやつだろうか。が忙しそうに働いている。 働いている者達を少し眺めてみたが、姿形自体は汚れているわけでもなく、そこそこ綺麗にされている。 世紀末のあの世界なら、使用人なぞボロ同然という風体なので、やはり何か決定的に違うのだろう。 とりあえず、聞きたい事は山ほどある。使用人程度からは大した事は聞けないかもしれないが最低限の事ぐらいは分かるはずだ。 答える気が無くとも答えさせるがな。と考えながら塔に入ろうとしたが、後ろから恐る恐るといった具合で声をかけられた。 「…ひょっとしてミス・ヴァリエールが召喚したという使い魔の方でしょうか?」 その声を受けて振り向くと、他の使用人と同じ服を着た黒髪の少女が立っていた。 少し怖がっているようにも見えるのは、筋肉質の男が上半身裸で(包帯を巻いてはいるが)居た事が原因だろう。 「知らぬな。だが、丁度良い。ここはどういった場所だ」 腕を組み見下ろしながら言ったが、そんな名の者は知らないのだから本当の事だ。 「え?ち、違うんですか?貴族の方たちがゼ…ミス・ヴェリエールが死に掛けの平民を召喚したと話していたもので……」 途中何かを言い直したようだが、特に関係ない要件だったので無視したが、どうも幾つか聞きなれない言葉があった。 「召喚だと?この俺をか?」 「えっと……その、ここはトリステイン魔法学院で、春の使い魔召喚の儀式で呼び出されたと聞きましたが……」 「クク……」 魔法?御伽噺の世界じゃああるまいし。 それも、この聖帝を呼び付けて使い魔……よく分からぬが奴隷かそれに類する事をしろだと? 「クハハハハハハハハハハ!」 「……あ、あのぅ?」 突如笑い出した男に少女が困惑した様子になったが、ああ、とある意味納得した。 召喚され、貴族の使い魔になれと言われたとあれば、笑うしかなくなるという事だ。 見知らぬ土地で知り合いもなく、貴族の使い魔にならなければならないのだから、そうなってしまうのも仕方ない。 いくら体付きが立派でも、魔法が使える貴族と、そうでない平民の間では意味を成さない。 貴族に逆らえないという事は、ここで働いている自分達が一番よく知っている。 「だ、大丈夫ですよ。生きてさえいれば良い事あります!わたし達もお手伝いしますから!」 少女の持ち前の優しさというやつもあるだろうが、そんな同情と励ましが混じった言葉は男にはあまり届いていない。 あまりにも馬鹿馬鹿しすぎて怒る気にもなれないというだけだ。 師のぬくもりを思い出したとはいえ、帝王は帝王である。 対等ならまだしも、帝王を使い魔などというものにしようなど、余程の愚か者か、身の程知らずである事は間違い無い。 「なるほど、俺の身体を治したのも魔法というやつか、クッハハハハ」 「そうみたいですね。秘薬の代金は全てミス・ヴァリエールが出したそうですよ」 少なくとも、天に還ったわけでもなく、死んでもいない。 魔法とやらで北斗神拳の秘孔に対応できるのか分からんが、生きているのだからそうなのだろう。 「まぁ、よかろう」 「少なくとも平民が出せる額ではないようなので…お礼を言っておいた方がいいと思います。…と、その前に食事がまだでしたらいかがですか?」 拳王あたりが見たら、目の秘孔を突きそうな、それぐらい似合わぬ少々和やかな会話だったが 少女―トリステインでは珍しい黒髪の持ち主と金髪の男との考え方には、その髪の色程の違いがあるという事にはまだ気付けていなかった。 本塔とは離れた学生女子寮の一部屋。 ベッドの上では桃色がかったブロンドの髪を少女がうずくまるように眠っていた。 彼女こそが、天上天下唯我独尊の塊ともいえる男を召喚したミス・ヴァリエールこと ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエールである。 「…ぅ……ん」 目を覚まして部屋を見回してみたが、彼女が期待していた物はそこにはなかった。 「やっぱり……夢じゃないんだ……」 力無く呟きながら昨日起こった事を思い出す。 サモンサーヴァント―― トリステイン魔法学院の生徒が二年生の進級時に行われる春の使い魔召喚の儀式。 これによってメイジの系統が決まる大事な儀式だ。 今年から二年生に進級する彼女も当然それに臨み、幾度かの失敗を経て無事成功はした。 だが…… 風竜や、サラマンダーなんて高望みはしない。 猫や犬、鳥でもよかった。とにかく普通のメイジと同じ物さえ召喚できればなんでもよかった。でも―― 彼女が呼び出した使い魔は、二人。いや、正確には二体。 一体は地に座ったミイラで、もう一体も何故かそのミイラに縋り付き、血に塗れ、背中には七つの穴の跡があった。 周りが『ゼロのルイズが死体を召喚した』などと喚きたてているが、そんな声は彼女に届きはしない。 ――こんなのってない。どうしていつも自分だけこうなんですか……始祖ブリミル。 頭の中に浮かぶのは二人の姉の姿。 ヴェリエール公爵家において三人いる娘のうち、上の二人は優秀なメイジ。 だが、三女であるルイズは魔法が使えぬ『ゼロ』のメイジ。 その不名誉な二つ名を返上したいという思いがこのサモンサーヴァントにあったのだが 例え儀式をやり直せたとしても、死体を召喚したなどという事実は消すことはできない。 トリステイン魔法学校の長い歴史の中でも、死体を召喚したという珍事例は無いだけに、それが一層気分を落ち込ませていた。 地面に座り込んだルイズの後ろから心配そうに一人の男が近づいてきたが、ルイズはそれに気付く様子も無い。 「……大丈夫ですか?ミス・ヴァリエール」 「ミスタ・コルベール……はい、大丈夫です」 そうは言ったが、全然大丈夫でないのは誰が見ても明らかだろう。 はぁ、とため息を吐いて、若干寂しくなった頭を片手で押さえたが、どうしたものかと本気で悩んでいる。 本来使い魔召喚の儀式は神聖なものでやり直しはできない。 だが、この場合は話が異なる。使い魔の契約は使い魔が死ぬ事により解除される。 つまり、最初から死んでいるという事は、契約のし様が無いと考えてもいい。 だが、再召喚に成功したとしても……辛いな。彼女には。 炎蛇の二つ名を持つ学院の教師である彼も、ルイズが普段からゼロと呼ばれている事はよく知っている。 それも、何もしないからゼロではなく、人一倍努力を重ねている上でそう呼ばれている事もだ。 これを機に、昔の自分と同じ間違った道へ進まねばいいが、と考えたが、立ち止まったままというわけにもいかない。 「ミス・ヴァリエール。この場合は仕方ありません。再召喚の準備を、これはわたしがどうにかしましょう」 「……はい」 力無く杖を持つルイズを見て心配になったが、それより先に二体の死体の違いに目がいった。 一体はかなり古い物で、もう一体は新しい。というよりは召喚される直前までは生きていたのかもしれない。 どこかの遺跡に入った盗掘者が罠に掛かり死んだというところだろうか? それにしては、体躯に似合わぬ子供の面影を残す顔が不自然なところだ。 コルベールが少し触れてみたが、まだ身体にはぬくもりが感じられる。 まさかと思い慌てて脈を取ってみたが、かすかだが動いている事に気付き声を出した。 だが、その動きは一刻ごとに弱くなってきている。 「ミス・タバサ!召喚したばかりで悪いのですが、その風竜で彼を学院まで運んでいただきたい!」 タバサと呼ばれた青い髪の小さい少女が頷き、呪文を唱え身の丈程もある杖を振ると、男の身体が浮き上がり風竜の背中に乗った。 「ミス・ヴァリエール。一先ず再召喚は中止にします!非常に危険な状態ですが、処置すれば間に合うかもしれません!」 コルベールとタバサも風竜に乗り込むと、青い鱗の翼を羽ばたかせ風竜が猛スピードで学院へと飛んでいった。 「はぁ……」 ため息を吐くのは何度目かしら。 まだ起きて十数分しか経っていないのに、吐いた数は十を超えている。 あの後学院に戻ったが、コルベールから外傷は大した事ないが 原因は不明だが体内の水の流れを大きく狂わされており、秘薬を用いねば助からないだろう、と聞かされたのだ。 ついでにディティクトマジックで調べてみたが、何の反応も無かったので平民という事は間違い無いという事も。 秘薬という物は高い。公爵家の子弟とはいえ、学生の身分であるルイズにとっては間違いなく高価な代物だ。 それも召喚した平民に使うとあればなおさら高く感じてしまう。 事態が事態だったので使い魔契約の儀式こそしてはいないものの、召喚した事には違いはない。 大金を支払って助けても、平民の使い魔ができるだけ。再召喚も可能だ。 だが、助けなければ死体を召喚したという事は確定し語り草になってしまう。それに再召喚が成功するという補償も無い。 それに、ルイズは常に貴族であろうとしている。 魔法が使えないからこそ、人一倍その傾向が強い。 このまま見捨ててしまえば、貴族などと名乗っていいものかと心の隅でそう思っている。 結局自腹を切って秘薬代を出したのだが、手元に残ったのは百エキュー程だ。 百エキューと言えど平民からすれば大金だが、ルイズにとってこの出費は痛い。 次の仕送りまでかなり間があるし、訳を話すにしても『瀕死の平民を召喚したので、それを助けるために使いました』などと言えるはずがなかった。 ともあれ、授業には出ねばならないし、そろそろ朝食が始まる時間だ。 着替えを済ますと部屋の外に出たが、今現在、最高に見たくない顔と鉢合わせになった。 「おっはよ~、昨日は大変だったわねぇ。大丈夫かしら?ルイズ」 赤い髪が特徴的な、胸元の大きく開いた服を着た、ルイズとは対象的な美女が軽い感じに話しかけてきたが 朝一番から嫌な物見た。という具合に、これまた対象的に嫌そうに返した。 「あんたに心配されるほど落ちぶれてないわよ。キュルケ」 ほぼ同世代なのに、ここまで差が出るあたり、どこの世界にも格差というものは存在するらしい。 「そ、なら大丈夫ね。それで使い魔の平民ってのはどうなったのかしら?」 「ミスタ・コルベールに聞いたら、落ち着いたみたいね。いつ起きるかまでは分からないみたいだけど」 「やっぱり使い魔にするなら、こういうのがいいわよねぇ~。来なさい、フレイム」 そのキュルケの部屋からのっそりと、現れたのは存在するだけでその場に熱を放つ真紅のトカゲ。 身の丈は虎程もあり、尾の先は炎で出来ている異形の生物。 当然、ルイズはこの生物の正体は知っている。 「サラマンダーね。『微熱』のあんたにはお似合いじゃない」 メイジの実力を測るには使い魔を見よ。という言葉がある。 使い魔を見れば、そのメイジの属性と実力がどのぐらいか測れてしまう。 同じ学年で言えば目の前のキュルケと、昨日の風竜を召喚したタバサはツートップ的存在と言えた。 サラマンダーを呼び出したキュルケの属性が炎で、風竜のタバサが風になる。 ならば、死に掛けの平民を呼び出した自分は一体なんになるのだろうか。 考えれば考えるほど『ゼロ』の二つ名が嫌になってくる。 色々考えていたが、気が付けばキュルケとフレイムは既に居なかった。 「はぁ……あいつの自慢話も聞こえないなんて、なにやってるんだろ…わたし」 ため息のカウントをまた一つ増やすと、ルイズも食堂へと歩いて行った。 「騒がしいわね……」 朝食を摂るべく食堂に着いたルイズだったが、何やらやけに騒がしい事に気付いた。 食堂の入り口前に生徒達が集まって中を覗いているのである。 「ねえ、そこのあなた」 メイドなら何か知ってるかもしれないと思い、丁度近くにいた黒髪のメイドに声をかけたのだが、なにかやたら慌てている。 「は、はい!?ど、どど、どうかなさいましたか?ミ、ミス・ヴァリエール」 慌てているというより、声をかけられたから慌てだしたと言った方が正しいだろうか。 それでも一応の応対はしているのだから、さすがというべきだろう。 「なにかあったの?」 「え、っと………ミス・ヴァリエールの……」 やたら言いにくそうにしているが、ミス・ヴァリエールの、と言ったという事は自分に関わりがあるという事になる。 食堂に入っていないのだから、自身は関係無い。 なら他になにかあるかと思ったが、最高に嫌な予感がしてきた。入り口の方から『ゼロの…』とか『召喚…』とか聞こえてくるし。 恐る恐る食堂の中を除いてみたが、言いようの無い脱力感に襲われ思わずその場に座り込んでしまった。 \タタタ~ン♪タタタタタタタタタタッタタ~♪/ 今のルイズの頭の中には、そんなマーチ音が縦横無尽に鳴り響いている。 それもそのはず。昨日まで瀕死のはずだった男が、『貴族は魔法をもってしてその精神となす』をモットーとした 貴族の食卓にふさわしい貴族のための食卓で食事を摂っているからだ。 しかも、限りなく偉そうに、かつ悪びれる様子も無くである。 軽く三人前片付けた所でナイフを置いたが、脚を組み片手で頬杖を付くと、もう片方の手でグラスを取りワインを飲み始めた。 「フッ……悪くない」 グラスの半分を飲んだところでそう呟いたが、それに突っ込む物は誰一人として居なかった。 いや、居るには居るのだが、射抜くような眼光を飛ばされ、近付こうとする前に退散させられていたりする。 「な……なに、やってんのよ……」 あれ本当に昨日召喚したあれよね…?と自分に再確認させてみるが間違いなく本人だ。 本来、平民が入れるはずのない『アルヴィーズの食堂』で、あろうことか脚を組み頬杖を付きながらワイングラスを傾けゆったりしている。 貴族でもあそこまで偉そうにしているのは正直見たことが無い。 よろよろと立ち上がったが、さっきのメイドが心配そうに話しかけてきた。 「だ、大丈夫ですか……?」 「大丈夫じゃないわよ……なに?なんであいつは平民のくせにあんなに偉そうにしてるのよ!」 「い、いえ…わたしは、止めたんです、貴族様しか入れない場所だって。……そしたら、その」 「その?」 「『俺は聖帝。ナントロクセイの帝王。ならば帝王がこの場所に入る事になんの不都合もあるまい』っておっしゃられて……」 ……帝王? 「ナントロクセイって、聞いたことありませんが、どんな国なんでしょうかね」 半ば感心したようにメイドがそう言ったが、当のルイズは聞いちゃいない。 国王、皇帝、君主。言葉は違えど帝王って事はそれと同じ? ……一国の王を使い魔にするのって拙くない?下手すれば戦争よねこれ。 いえ、落ち着くのよルイズ……素数を数えて落ち着くのよ……2 3 5 7 11 13… ナントロクセイなんて国聞いたことないし、そもそもあれ平民だってミスタ・コルベールも言ってたし…… で、でも、そう言われて見ればあの態度も納得いくわね……。ああ、でも自称帝王かもしれないし……。 ひょっとして国家レベルでやらかしたかもしれないという思いと、やってない、まさかという思いが頭の中をぐるぐる回っていたが 食堂の中の方から聞こえてきた声によって、そんな考えを打ち消された。 「君、その席はモンモランシーの席だ。あまつさえ平民が、この食堂に入るなど言語道断だと思わないのかね」 芝居掛かった台詞が聞こえてきた方向を見ると、金髪の少年が腰に手を当て薔薇の杖を突きつけている。 『い、言った!』 『さすがギーシュ!俺達に言えない事を(空気も読めず)平然と言ってのけるッ!』 この状況の中、あえて言ってのけたギーシュに賛辞半分の言葉が送られたが、快く思っていない貴族がほとんどなのか追従する者まで出ている。 だが、帝王は一切動じず、頬杖を付いたまま面白い物でも見るかのような軽い笑みを浮かべて言った。 「デカイ口を利くな、小僧」 まさに傲岸不遜。完全に見下した態度にカチッときたのか、薔薇を持つ手が小刻みに震えている。 「き、聞こえなかったのかね!平民風情が入れる場所ではない、すぐに立ち去りたまえ!」 ギーシュと呼ばれた少年が声を荒げたが、相手は一向に意に介していない。恐らく道端の小石程度にしか思っていないのだろう。 「大方、そこの小娘にいいところを見せたいとでも考えているのだろうが、随分と浅はかだな」 グラスに残ったワインを飲み干し鼻で笑いながら言ったが、ギーシュは顔を赤くして小刻みに震えている。 「モ、モンモランシーは関係無い!僕は君に礼儀というものを……!」 「ハッハッハ……俺は小娘と言っただけだが?」 「なぁ……ッ!」 完全にやり込められたギーシュが言葉に詰まったが、入り口の方から一人の少女がギーシュに近付いてきた。 「ギーシュ様……」 「ケ、ケティ……ど、どうしたんだい」 「やっぱり、本当の想い人は、ミス・モンモランシーだったんですね……」 ケティと呼ばれた少女が声を落としなら言い、目に涙を浮かべたまま走り去って行ったが、次いで金髪縦ロールの少女がギーシュに近付いてきた。 ギーシュが狼狽し始めたあたり、それがモンモランシーだという事が見て取れる。 「やっぱり、あの一年生に手を出してたのねぇ~ギーシュ!」 「モ、モンモランシー!彼女とは馬でラ・ロシェールの森まで遠乗りをしたぐらいで……!」 必死に言い訳をするギーシュだったが、そこに思いもよらぬ追撃が飛び込んできた。 「男の心変わりは恐ろしいものよのぅ」 その言葉の鋭さは最早槍の切っ先と同等。お前どこの殉星だよと突っ込まれそうな言葉の出所は無論あの男。 「き、君!なにを言ってくれるんだ!いいかい?薔薇というものは多くの人を喜ばせるために咲く……あ」 言葉のあまりの鋭さにギーシュが我を忘れて反論したのだが、もう一つの存在を完全に忘れていた。 「つまり、あんたにとってのわたしも、多くの人の一人って事ね?よ~く分かったわ」 殺気混じりの声が食堂に響くと、ギーシュが冷や汗を滝のように流し始めた。 今が夜で世紀末ならば、七つの星の脇に燦然と輝く小さな一つの星がはっきりと見えている事、疑いの余地無しだ。 モンモランシーがポケットの中から瓶を取り出すと、その中身をギーシュにかけた。 辺りに、薔薇の香りが強く漂ってきた事から香水の類のようだ。 「今度、あんたのために香水じゃなくて、除草剤作ってきてあげるわ」 怖いぐらいの笑顔でそう告げると去ると食堂に沈黙が流れたが、そこに笑い声が聞こえてきた。 「クッハハハハ、己の力量を見誤った者の愚かな末路と言ったところか。中々に面白い見世物だったぞ、小僧」 ひとしきり笑うと頬杖を付いたまま、まるで蝿でも払うかのように手を二回振った。下がってもいい、という意味だ。 完全にギーシュに興味を失ったが、コケにされた方はそうもいかない。 「ま、待ちたまえ!」 「まだ居たのか。何の用だ?」 最早その目には何の感情も帯びてはいない。だが、あくまでも帝王の風格を崩さず、そして不敵にギーシュに問い返した。 「君が余計な事を言ってくれたおかげで、二人のレディの名誉が傷ついた。どうしてくれるんだね!?」 「知らぬな」 短く一言で済まされたが、いよいよ我慢ならなくなったのかキザったらしい仕草を取りながら叫ぶかのように言った。 「いいだろう…!確か、ゼロのルイズが召喚した死にぞこないの平民だったか。その態度も気に入らない、君に貴族の礼というものを教えてやろう!決闘だ!!」 「ほう……」 「祈る準備ができたら、ヴェストリの広場に着たまえ」 体を翻すとギーシュが立ち去ると、周りの生徒達の大半も後を追って行く。 教師達も一応は止めようと試みているようだが、あまり積極的ではなかった。 「ミ、ミス・ヴァリエール、あの方はメイジなんですか…?」 一連の流れによく付いていけないルイズが辛うじて首を横に振って答えたが頭の中は色んな考えが飛び交っている。 そもそもわたし、あいつの事何も知らないのにどういうなの事よこれ。 それに決闘って、普通もう少し授業とかのイベントをこなして起こるもんじゃないの? メタ発言的考えはおいておくとして、完全においてけぼりを食らっている事にさすがのルイズもいい加減怒りたくなってきた。 それとは対照的に、未だ椅子に座る続ける男は、依然として変わらぬ姿勢を取りながら『ふむ』と呟くと、メイドを呼んだ。 「シエスタだったな。酒が切れた、代わりを持て」 シエスタ――そう呼ばれルイズの傍にいたあの黒髪のメイドが走り寄って行ったが、男がメイジではない事を知ったせいか声が少しばかり上ずっている。 「だ、大丈夫なんですか?魔法が使えないのに貴族を本気で怒らせたりしたら……」 「三度は言わぬ。代わりを」 「は、はい!」 次はないと言わんばかりの口調に、シエスタが厨房の方へと走って行ったが、そこにルイズが駆け寄ってきた。 「こ、ここの平民!わたしに命助けてもらったくせに勝手になにやってんのよ!まずはわたしに言う事があるんじゃないの!?」 物凄い剣幕でルイズがわめき立てたが、テーブルを挟んで開かれた口から飛び出た言葉はルイズが全く予想しない言葉だった。 「誰だ貴様」 「あんたを召喚したご主人様!一度しか言わないからよく聞きなさい!ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエールよ!」 ぜーぜー、と息を切らして一応自己紹介を済ませたが、長ったらしい名前の最後のヴァリエールという部分を聞いて男が思い出したかのように言った。 「ああ、俺を使い魔などというものにしようとした、身の程知らずか」 「身の程知らずはあんたよ!このバカ!いい?あんたがどれだけ偉かろうと、魔法も使えないやつはメイジには絶対勝てないの!」 「俺がわざわざ小僧と決闘をするだと?ふっ…冗談はよせ」 どこからか、『兄上も意外と甘いようで』とか聞こえてきたのは幻聴に違い無い。 「ああ、もう、とりあえず謝ってきなさい!わたしと契約するのはそれか……って、え、なんでよ?」 すっかり決闘をするつもりだと思っていたルイズも、これには怒りを忘れて思わず間の抜けた声で聞き返してしまった 「例えば……木に実った果実がある。お前ならどうする?」 「そ、それは、木に登るか、梯子を掛けたりして取るんじゃない?」 唐突にそう質問され、ごく一般的な当たり前の答えを言ったが鼻で笑われてしまった。 「な、なにが可笑しいのよ!」 「凡夫の考えだな。収穫などという事は他の者に任せておけばよい。居ながらにして果実を食うという物が帝王の姿という事だ」 口元を獣のように歪めながらぬけぬけと己の帝王学を語る姿にさすがのルイズも唖然としていたが そういえばこいつの名前も聞いていない事に今更ながら気付くと素性を問い質す。 「な、名前、あんた一体どこの誰よ!」 そう聞かれると、ゆっくりと手を掲げ指を天へと突き出すと名乗りをあげた。 「俺は聖帝サウザー。我が星は極星・南十字星。故に誰にも頭を下げぬし屈っしもせぬ」 帝王の名はサウザー。南斗聖拳総派百八派において、最強と評される一子相伝の南斗鳳凰拳の伝承者。 その力と身体の謎により、あの世紀末恐怖の覇者『拳王』ですら闘いを避けた非情の帝王。 だが、誰よりも愛深く、それ故に愛を捨て覇道を突き進んだ哀しい男。 ゼロの少女と、世紀末の帝王の初めての会合はこうして行われた。 前ページ次ページ帝王(貴族)に逃走はない(のよ)!
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前ページ次ページ虚無と十七属性 ここはどこだ。周りの人だかりは何だ。そして目の前で、棒を持ち、マントを着たピンクの女は誰だ。 14歳くらいに見えるピンクの少女は、仰向けに倒れている俺を、まるで牛乳を拭いた雑巾を見るような目で見て、 「アンタ誰?」と訊いてきた。 虚無と十七属性 第一節「魔王」 第一話 髪を揺らし、草木を波打たせる風の穏やかな音は、桃色の髪の毛を靡かせる今の少女の対義にあたる存在のようだった。 少女、ルイズ・フランソワーズ・ル・フラン・ド・ラ・ヴァリエールは不機嫌だった。 彼女はヴァリエール公爵家の三女として生まれたにも関わらず、今まで魔法一つ成功できた事が一度もない。二年に進級 する為に絶対不可欠の存在である、使い魔召喚の儀式だけはなんとしても成功させなければならなかったが、幾度も失敗を繰り返した。 そして、今。僅かながら、その失敗の中で手応えを感じたのだ。爆発の後に影が見えたときには、それはもう、思わず歓喜の声を 上げそうになったが――初の成功を見いだしたと思ったら。 「……平民?」ただの平民だった。 「……」 召喚された男は、何が起きたか分からないといった表情のまま、うんともすんとも言わない。その表情が、ルイズの機嫌を、 さらに、頗る悪いものへと変えていった。 「アンタ、誰?」 「……」男、というより、青年は、その声に応えるわけでもなく、ただ辺りを見回した。 もの分かりの悪そうな平民を見て、ルイズは思わず苛立ちでどうにかなってしまいそうだったが、召喚したのは他でもない 自分なので、何も言えない。 「ミスタ・コルベール! やり直しをさせて下さい!」思いっきりそう叫ぶのが、唯一許された選択肢だった。 「残念だが、それはできない」ハゲは非情だった。 「なぜですか!」 「使い魔召喚は、メイジとして人生を決める神聖なもの。やり直すなど、儀式そのものに対する冒涜ですぞ? 君が好むと好まざるとに関わらず、彼は君の使い魔と決まったのです」 「ですが!」 「儀式を続けなさい。それに、彼はあなたが召喚した立派な使い魔ではありませんか」 何が立派よ、最初に「残念だが」と言ったくせに、とルイズは内心悪態をつきたくなった。 使い魔を見ると、混乱するでも、慌てるでもなく、こちらをただ、じっと見据えていた。 「ほら、これで取り乱さない使い魔なんて、多分ただ者じゃありませんよ」 「状況が全く理解できていないだけかと思いますが」 それとほぼ同時に、既に使い魔召喚の儀式を終えたギャラリー達が沸き上がった。 「は……はははははは! 腹痛い! 腹筋割れる!」 「流石、ルイズだな! みんなの期待を裏切らないや!」 「何あれ、もしかして、もしかするとただの平民?」 「ルイズにはお似合いだな!」 「ある意味、これも才能だと思うよ!」 「ゼロのルイズー!」 誰かが忌々しい、彼女の二つ名を叫んだ。彼女はもう爆発寸前だった。 いっそのこと本当に、物理的に爆発させてやろうかとも思ったが、ルイズはなんとか押しとどまった。 「儀式を続けなさい」 非情なハゲが彼女を見て、再びそう言う。ルイズは唇を噛みしめた。 穏やかな風は、やはり今の状況に似合わなかった。 ◇◆◇◆◇◆ キッと、桃色髪の少女がこちらを睨みつけた。髪の薄い男性と、ツカイマが何やら口論していたが、どうやら俺が原因らしい。 俺はさっきまで、確かポケモンセンターでボックスの整理をしていて――――それで? あれ、俺はどうしてこんな所にいるんだろう。 そういえば、何か鏡ともドーミラーとも似つかない物体が現れて、それに触れて、引き込まれて。引き込まれて? 駄目だ、頭が痛くなってきた。レポートを見返した方がいいかもしれない。とりあえず、四天王戦よりも、バトルタワーよりも、 いろいろと遙かに厄介な状況である、という事が、なんとなく、分かった。 「貴族にこんな事してもらえるなんて、平民のアンタには多分一生無いわよ。感謝しなさい」 「……」 そんなわけで、考え事というか、内心恐慌状態だった俺は、少女が屈みこんで、こちらを真っ直ぐに見つめていた事には まるで気がつかなかった。 「我が名はルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール。五つの力を司るペンタゴン。この者に祝福を与え、 我の使い魔となせ」 そして刹那、接吻を受ける事となった。 「!」 何のつもりだ、と抗議をするつもりだったが、突如として襲ってきた、胸板への尋常ではない激痛が、それを妨げた。 視界が暗転し、思わず俯せに倒れた。畜生、どこが祝福だ。 「心配しなくても、使い魔のルーンが刻まれているだけよ」 少女が無慈悲にそう言ったが、気休め程度にもならず、この痛みは尋常ではなかった。 右手で草を毟り、左手で服の中に手を突っ込み、胸を掻き毟った。体はくの字に折れ曲げる。どうにか痛みを和らげようと、 必死になったが、焼けるような痛みは悪くなる一方だった。右手が掴んだ地面は抉れ、左手で掻き毟った胸板からは血が吹き出し、 指には自分の表皮細胞とヘモグロビンがごっそりついていた。焼くような痛みは、一向に引かない。まるで血が沸騰するかのようだった。 俺は――めのまえが まっくらになった。 ◇◆◇◆◇◆ 使い魔のルーンを刻む為、といっても随分と時間が長い気がする。青年がのたうち回り初めてから30秒は経過した。 一向に戻る気配がない。 声を上げない叫びを上げている自分の使い魔を見て、流石に様子が変だという事に気がついた。 「ちょっと……アンタ、大丈夫……?」 声をかけても、何も返して来ない。青年は激痛と格闘していた。 ふと、衣服の中から、僅かに青年の左手が見えた。見間違いでなければ、夕日のよう、と形容するにはあまりに禍々しい液体が べっとりと付着し、胸からは大きすぎる光と、血が溢れていた。 「……え……」 血? 「おい、ルイズの平民、なんだかおかしくないか?」周りの生徒も、先ほどとは違うざわつきを見せた。 「コントラクト・サーヴァント、したのよね?」 「もしかして……また失敗したの? 胸は光っているけど」 「え、まだ終わらない、の?」 その時だった。 「あ゛ああああ!」苦痛に溢れた咆吼が、草原に響き渡った。 ルイズは見た。 青年の体から、何か四角い物が大量に析出しているのを。否、青年の身体が、衣服が、無数の正方形に変形していたのだ。 彼の体から溢れる血液も例外ではなく、小さな正方形へと形を変えていく。 まるで――モザイクのようだった。 「ひっ」唯一、近くでそれが確認できたルイズは、悲鳴を上げた。 それと同時に、青年は動かなくなった。 青年と示し合わせたかのように、誰も動けなかった。 「え、死んだ、の?」ギャラリーの誰かが、そう呟いた。 その声で正気を取り戻したのか、コルベールが青年に駆け寄った。 この壮絶な光景を見たというのに、彼は至極冷静に、急いで手を取り、脈をとった。 「あぁー、良かった。……彼はちゃんと、生きてます」溜息をついて、ハゲは言った。 その言葉を聞いて、ルイズはぺたんと腰を落としてしまった。 ◇◆◇◆◇◆ 「彼はちゃんと、生きてます。……!?」 教師、コルベールは息を呑んだ。 脈を測った側の手についた、あるはずのない赤い液体を確認したからだ。 「ちょっと確認したい事があるから、皆、先に教室に戻っていてくれ! 授業の残りは自習でいいぞ! なんなら使い魔と交流を深めてもいい」 教師として、生徒にこれを見せるわけにはいけなかった。 訝しげな表情を見せる生徒たちが「フライ」を唱えて去っていったのを確認してから、再び青年を見た。 疑問は尽きないが、それに少しばかり安堵して、すっかり直ってしまった青年の上半身の服を脱いで胸板を露わにした時、 コルベールは思わずぎょっとした。 掻き毟ったのが原因だろう、僅かに皮膚の内側が露わになって、その部分からは血が沸いていた。 出血多量で死ぬという事はないだろうが、この青年の痛みを想像しただけで、思わず顔を顰めてしまう。 しかしそこは、過去に魔法衛士隊として戦場を見てきたコルベール。衝撃はあまり大きなものではなかった。 彼が驚いたのは、文献も含めて嘗て見たことの無い、長い長いルーンが刻まれていたからだ。 「何だこれは……」 通常のルーンらしきものが一つと、通常の使い魔に刻まれるものとは明らかに違う、解読不能の文字が16あり、 それが2行にも連なっている。 これはルーンなのかどうかさえ疑わしい、見たことの無いルーンであった。 コルベールは規格外だらけの事象に頭を抱えていると、そのうちに、スッと2行の文字は消えていった。いよいよ訳が分からない。 悩みで、彼の頭の砂漠がさらに広がりそうだった。 人間が召喚されたというのも聞かない話だが、それ以上にこのルーンは何なのだ。 「この青年は知っているのだろうか」 後に残された三文字のルーンを、とりあえずコルベールはスケッチする事しかできなかった。 スケッチし終えると同時に、背後に僅かな気配を感じ、コルベールは慌てて振り返った。 そこには、呆然とした表情のまま腰を下ろした、この使い魔の主がいた。どうして今まで気付かなかったのだろう、 コルベールは自分を戒めた。 穏やかな風が、彼の残り少ない髪の毛を揺らした。 「ミス・ヴァリエール……。見たのか、君は」 「……は、はい」ルイズは答えた。 「いいかい、この事は絶対に口外無用だ。この使い魔の正体は、教師である私にも分かりかねるものだ。 ルーンの時は何が起こったのかさっぱり分からないが、幸いにも彼は生きている」 「はい」 「他の生徒に何を聞かれても、君はこの事を答えてはならない」 「はい」 「何か分かった事があったら、彼の主である君にも伝えよう。まだ、何も分からない状況だからね」 「はい……」 「彼は、私が医務室に運んでおこう。君は、教室に戻りなさい。いいか、絶対に喋るんじゃないぞ」 「わかりました」 ふらふらと、歩きで教室へ戻るヴァリエールを見送った後、コルベールは溜息をついた。 さてこれからどうしたものか、と。 前ページ次ページ虚無と十七属性
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基本情報 キャラクター詳細 SDキャラ画像 プロフィール コメントフォーム 基本情報 エリザベート・バートリー 霊気再臨【1】 レアリティ コマンド Lv1HP MAXHP ☆4 2 1 2 3534 11870 クラス コスト 加入条件 声優 Lv1ATK MaxATK ランサー 12 聖晶石召喚 大久保瑠美 2766 9122 宝具 名称 種別 効果 バートリ・エルジェーベト鮮血魔嬢 対人宝具E- 敵全体に強力な攻撃[防御力無視]&呪い付与(3ターン) オーバーチャージで効果UP スキル 名称 使用間隔 効果時間 習得 必要Lv 効果 カリスマC 7ターン 3ターン 初期 1 味方全体の攻撃力をアップ(3ターン) 拷問技術 7ターン 3ターン 霊基再臨[1] 40 敵単体の防御力をダウン(3ターン) 戦闘続行 9ターン 5ターン 霊基再臨[3] - 自身にガッツ状態(5ターン)を付与 クラススキル 名称 効果 対魔力A 自身の弱体耐性を少しアップ 陣地作成B 自身のアーツカードの性能をアップ 霊基再臨 回数 アイテム QP 1回目 槍ピース x4 50,000QP 2回目 竜の牙 x15槍ピース x10 150,000QP 3回目 竜の逆鱗 x4混沌の爪 x3 槍モニュメント x4 500,000QP 4回目 鳳凰の羽根 x8混沌の爪 x5 槍モニュメント x10 1,500,000QP 5回目 聖杯 x1 50,000,000QP キャラクター詳細 吸血鬼カーミラのモデルになった血の伯爵夫人。……なのだが、サーヴァントとして召喚されたのは彼女がまだ罪を犯す前の十四歳の姿だった。アイドルを自称するスイーツ系サーヴァント。高貴、高飛車、残忍、無慈悲、と、伝説通りの非人道っぷりをみせる。 SDキャラ画像 霊気開放1 霊気開放3 霊気開放5 プロフィール + アンロック条件:絆レベルを 1 にすると解放 身長/体重:156cm・44kg 出典:史実 地域:ハンガリー 属性:混沌・悪 性別:女性 ※全長に尻尾ふくまず + アンロック条件:絆レベルを 2 にすると解放 悪の反英霊ではあるのだが、本人が恋に夢見る少女であり、根は小心者なところが災いし、 結果的には仲間を助けたり敵を見逃したり、ギリギリのラインで『まあ、英霊と言えなくもない』人の良さを発揮してしまう。 本人はそのように『実はいい人なんでしょう?』と言われる事を嫌っている。 + アンロック条件:絆レベルを 3 にすると解放 ○竜の息吹:E 最強の幻想種である竜が放つマナの奔流。 スーパーソニック・ドラゴンブレス。 スキル・無辜の怪物でドラゴン化しているものの、やはり無理があるので威力は低い。 彼女がデミドラゴン化している原因として、バートリ家の紋章(ドラゴンの歯)があげられる。 + アンロック条件:絆レベルを 4 にすると解放 『鮮血魔嬢』 ランク:E- 種別:対人宝具 (バートリ・エルジェーベト) エリザベートがその生涯に渡り君臨した居城・監獄城チェイテを召喚し、己を際立たせる舞台(ステージ)とする宝具。 壊滅的なまでに音程を外した歌を歌うことで、地獄にも等しいステージが展開する。 + アンロック条件:絆レベルを 5 にすると解放 ○カリスマ:C 支配階級としての威圧を示す。 特殊な伝統補佐により、女性に対してはワンランクアップする。 男性に対しては妙に潔癖なところがあり、器具越しに触ることは大好きだが、直接触れることは滅多にない。 + アンロック条件:「エリザ・新生」 をクリアすると解放 貴族として育てられたため一般道徳がなく、 またスキル『頭痛持ち』のため他人を人間と 認識できなかったエリザベートだが、どこかで改心、あるい は成長したらしく、今作では少しだけ物わかりのいい反英霊 になっている。 コメントフォーム 名前
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召喚という拉致に遭ってから五分後、他人のサモン・サーヴァントの邪魔にならないよう脇に下がっていた統夜とキュルケ。 最初サモンとコントラクトの意味を良く分かってなかった統夜は、キュルケの情報提供をほぼ右から左に流して、ただ目の前で繰り広げられる召喚に目を輝かせたものだ。 目を皿にして観察する彼の前に出るわ出るわビックリドッキリマグマ獣……ならぬ召喚動物達。 ネズミに牛に虎にウサギに竜…………十二支もかくやといった感じの動物は勿論、飛ぶ目玉や二首の小鳥なんかも居た。 そんな動物を見た統夜は使い魔とは凄いものだなと呟いたのだが…………… 「じゃあこのマークは使い魔とやらになった証な訳か?」 「ふぁい」 統夜は額に青筋を浮かべて【ご主人様】と向かい合っていた 対するキュルケは気の抜けた返事をするのだが、彼女に統夜を馬鹿にする意図は無い。 「キスは契約を履行する為の儀式と?」 「ふん」 キュルケに統夜を馬鹿にする意図は無い。 「何となく焼ける様な痛みが有ったのはマークを刷っているからだな?」 「ほうひょ」 馬鹿にする意図はry 「ほうほう、拉致の上に奴隷契約を結ばされたと…………ちょっとおイタが過ぎるんじゃないかぁ!?」 「いはいいはいいはいぃぃ!!」 怒りの統夜と痛がるキュルケ。 統夜の鍛えられた指が、キュルケの柔らかい両頬を力いっぱい握り、断ち切らんとばかり引っ張っていた。 「うぅ………もうお嫁に行けない」 赤く見事に膨らんだキュルケの両頬。 彼女はそんな頬を押さえながらほんのりと涙目になっていて、そんな彼女の様子に統夜はほんの少し………本当に少しだけ同情した彼は一言 「ドンマイ」 と言って彼女の肩を叩いてあげた。 「貴方がやったんでしょうが…………はぁ」 キュルケは深いため息を吐き、頬から手を離すと他の生徒へ目を向けた。 涙は未だ収まってないのだが、彼女の瞳からはなにやら妙な色を湛える。 からかうような慈しむような………手の掛かる妹に対する愛情だろうか? カティアがテニアを見るような眼だ、と統夜。 その統夜が視線をたどれば見付かるのは二人の人間。 一人は禿げた教師で一人は小さな女生徒。 「次はルイズだから見逃せないわねー」 「ん、ルイズとはあの桃色か?」 「えぇ、そのピンクの娘よ。性格は胸と同じくお子ちゃまだから、貴方も絡まれないようにね」 二人の内どちらを指すのか分からずに聞いた統夜。 それを律儀に返すキュルケは、まぁ親切なのだろう。 内容はピンクの娘………ルイズを馬鹿にしているが、内に込められた物はあくまでプラス感情。 ――悪友みたいなものなんだな―― キュルケの表情と言葉から、統夜はそう解釈した。 「さぁミス・ヴァリエール、最後は貴女だ…………大丈夫、貴女なら出来ますよ。私が保証しますから」 「ミスタ・コルベール…………はい!」 知性に優しさを兼ねた瞳でそう言われたピンクのルイズは、元気の良い返事の生き見本となる返事をして虚空をカッと睨む。 「ふぅ………出来る出来るやれるやれる、諦めるな諦めなければ出来る!絶対出来る頑張れ頑張れ私超頑張れ!!」 親の仇を見る眼はそのままに独特の気合いを入れて、ルイズは深く息を吸い込み、勇気をひねり出すよう叫んだ。 「我が名は松岡……じゃなかったルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール!!五つの力を司るペンタゴン。我の運命に従いし"使い魔"を召還せよぉぉ!!!!」 切実な心の叫びが辺りを揺らし、それを聞いた者達の心に寒気と同情を植え付けた。 ドロン……… 気合いの入りすぎた召喚者に比べ発生した音はあまりにも小さく、また、聞きなれない音だったにも関わらず「あ、これは外れだ」と皆に思わせてしまった。 立ち込めるピンク色の煙。 プラトーンの様に膝を衝いて天を仰ぐルイズ。 首を振るコルベール。 あまりにもあまり過ぎてゼロと馬鹿に出来ない同級生達。 長く冷たい沈黙が満ちる中、召喚した風竜の首に凭れていた青髪の少女が小さく呟く。 「動物ですらない………」 と 確かに出てきたのは黒い四方4メイル程の大きな鉄の箱だ。生き物ではない。 青髪の呟きにいち早く反応したキュルケは、ナイス!とばかりに目を輝かせてコルベールへ言った。 「使い魔は生き物でしたわねミスタ・コルベール!?」 「え………えぇ!そうですなミス・ツェルプストー」 一瞬の後に彼女の意図を把握したコルベールは、大袈裟に宣言する。 「まぁ一度や二度の"ミス"は仕方がないですな!さぁミス・ヴァリエール、二回目をどうぞ!!」 「みすたぁぁ………」 「頑張りなさいルイズ、ほら立って」 「うぅぅキュルケ………」 三人による小芝居が続くなか、ただ一人統夜は箱に眼が釘付け。 かといって状況は止まることなく進んでいく。 「皆……頑張る!我が名はルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール。五つの力を司るペンタゴン。我の運命に従いし、使い魔を召還せよ」 ルイズの力みの抜けたさっぱりした口調に、一同の期待は大きく高鳴った。 パンパカパーン!! 小気味良く鳴り響くファンファーレ。 やはり固まる一同。 「「「…………」」」 彼らは互いに顔を見合わせると、立ち上る煙と中から見える物体に目を向けた。 洗礼された威厳が深く滲み出る、高さ190サント程の蒼きシルエット。 腰には鍔と持ち手のみの剣が括られ、銃と思われし道具が背中にあった。 その独特で、どことなく統夜の騎士服に通じるところのあるデザインに、目敏いキュルケは彼を見た。 しかし統夜はその視線に気づくでもなく、黒い鉄と蒼い鉄を交互に見やって困惑する。 「………ゴーレム?」 いつのまにか統夜の隣に立っていた青髪の少女が呟くように聞くと、統夜は首を振って答えた。 曰く 「オルゴンクラウド発生器と騎士機ラフトクランズ。大きさは違うが俺の愛機だ………」 と 「俺の?騎士機?………貴方も騎士?」 「あぁそうだ………ん?貴方もってことは君もか?」 統夜の言葉に彼女は小さく頷くと、ラフトクランズとオルゴンクラウド発生器を指差して首を傾げる。 「あれは鎧?」 「ロボ…………いや、そんなものかな」 「?」 中世レベルの文明しか持たないファンタジー世界の住民にロボットという言葉が伝わるはずもない。 言葉を濁した統夜に怪訝そうな表情を浮かべる少女の近くで、本日24回目の爆発が起きた。 シャランラーン 「もう爆音ですらないわね………」 金髪ドリルの少女が呆れを通り越して感心した様に呟くと、皆それに同意する。 「また………失敗」 すっかり煤だらけになっているルイズが、立ち込める煙を見て肩を落とす。 誰もがあーあと脱力したその時、煙がフワッと蠢いた。 その気配に気付いた統夜とコルベール、そして青髪の少女は軽く身構え、中から何が出てくるのだと警戒する。 キュキュルル? しかし姿を表したのは小さな小さな真っ白蜥蜴。 せいぜい1メイル半程の生き物だが、その白蜥蜴が何やら気品のような物を感じさせたので、ルイズは泣きながら抱き着いたのだった。 「やれやれ、一件落着かな?」 統夜がそう言って皆が頷く。 これで終われば安っぽい学園物と言えたのだろうが、そんな事が起こるはずもなく……………… 「ふむ、私は巨乳派なのだが…………まな板というのも案外乙なものだ!!」 ルイズの腕に抱かれた白蜥蜴がシレと言い放った言葉で一同に沈黙が舞い降りた…………
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朝食を終えたルイズと康一は、授業が行われる教室へと向かっていた。 今後、どうやったらルイズと衝突せずに生活できるか、などと考えている康一。 ちびの癖に生意気な犬をどうやって躾けようかしら、などと考えているルイズ。 二人とも無言で、今後についてのことを一生懸命考えていた。 そんな二人の前に、一人の色気を放っている赤い髪のナイスボディな女性と、真っ赤な巨大トカゲが現れる。 思案に暮れていた康一は、目の前に現れた魔物とおっぱい星人に気づいておらず、 おっぱい星人の使い魔である、真っ赤な巨大トカゲと思い切りぶつかった。 「うわっ!?」 尻餅をつき、顔とお尻をさすりながら前を見ると、のっそりとした巨大トカゲが康一をジーッと見ていた。 「うわぁぁあああああっ!?」 その姿に思わず驚き、康一は半身起こしただけの状態で後ずさりする。 「あら、大丈夫? おチビちゃん」 「ちょっとキュルケ! 私の使い魔に何するのよ!」 「あら、余所見をしていたのは貴方の使い魔でしょ」 そう言って、キュルケと呼ばれた女性はせせら笑う。 康一は床に手をつきながら立ち上がり、ペコリと頭を下げて謝った。 「す、すみません、考え事をしていたもので……」 素直に謝る康一を見て、ルイズは不機嫌そうな顔をする。 「ちょっと! こんな奴に謝らなくてもいいの!」 「僕が余所見してたんだから、悪いのは僕だし、ちゃんと謝らなくちゃいけないよ」 そんなやり取りを見ながら、キュルケはニヤニヤと笑いながら康一を見ている。 「それにしても、平民を使い魔にするなんて、貴方らしいわ。さすがはゼロのルイズ」 「うるさいわね」 とっとと目の前から消えろと言った感じの表情で、ルイズはキュルケを睨みつける。 「ところでそっちのおチビちゃんは、誰かさんと違って随分と礼儀正しいみたいね。一瞬、どっちが使い魔なのか分からなかったわ」 立て続けに嫌味を言うキュルケに、ルイズは康一を指差しながら怒鳴った。 「こいつのどこが礼儀正しいのよ!」 「少なくとも貴方よりは品性があるわね」 「ど・こ・が! 目が腐ってるんじゃないの!?」 「あらあら、品性のかけらもない言葉遣いね、ヴァリエール」 余裕のある笑みを浮かべるキュルケと対照的に、ギリギリと歯軋りさせながら怒りの形相を浮かべるルイズ。 少なくとも、彼女達は礼儀正しくないよなぁ、などと思いながらルイズ達を見ている康一。 「何か用でもあるわけ!? 用がないなら鬱陶しいから早く私の視界から消えて」 「あら、用ならあるわよ。あたしも昨日、使い魔を召喚したのよ。誰かさんと違って、一発で呪文成功よ」 そう言って、巨大トカゲの頭を撫でるキュルケ。 「えーと、その大きなトカゲがキュルケさんの使い魔って奴ですか?」 康一は物珍しそうに、キュルケの隣でのっそりとしている巨大トカゲを見て言った。 「そう、素敵でしょ。火トカゲよー。見て? この尻尾。 ここまで鮮やかで大きい炎の尻尾は間違いなく火竜山脈のサラマンダーよ?ブランドものよー」 康一は、あんなにそばにいて熱くないのかなぁ、などと思いながらサラマンダーに近づいた。 「凄いなぁ~、こんな生き物見たことないよぉ~。 カッコいいなぁ~」 「そうでしょ? 貴方、見る目があるわ。誰かさんと違って」 康一は、サラマンダーを触ったり撫でたりして、目を輝かせている。 自分の使い魔を称えられているキュルケも、気分よさそうに康一に色々とサラマンダーについての説明をしていた。 和気あいあいとした雰囲気の中、一人だけ暗黒の空気に包まれている者がいた。 他でもない、ルイズである。 目を逆三角形にしながら、康一の背中を引っつかんで自分のそばに引き寄せる。 「何楽しそうにおしゃべりしてんのよ! あんたは私の使い魔でしょ!」 「あら、私の使い魔になりたがってるんじゃないかしら? あなたと違って、魅力があるしね」 そう言われて、キッと康一を睨みつけるルイズ。 康一は、必死に顔を横に振って否定の意を表す。 「ハイ、そーです」なんて肯定したら、殺されそうな勢いだった。 「そういえば、まだ名前を聞いてなかったわね」 「あ、広瀬康一です」 「ヒロセコーイチ? ヘンな名前ね。ま、覚えておいてあげるわ」 そう言うと、炎のような赤髪をかきあげ、颯爽とキュルケは去っていった。 大柄な体に似合わない可愛い動きで、サラマンダーがその後を追う。 「くやしー! ただ自慢しにきただけじゃない! 火竜山脈のサラマンダーを召喚したからって!」 「ま、まぁまぁ……」 ルイズは、自分をなだめようとしてくる康一を睨みつける。 「うるさいわね! 今日は晩御飯もヌキッ!」 「えぇ~ッ! 何でェー――ッ!?」 「ご主人様をそっちのけにして、他人と仲良くした罰よ! なによ、私にはあんな顔しない癖に!!」 そりゃ、キミがワガママ言うからだよ、などとは口が裂けても言えない康一。 これ以上刺激したら、もっと空気が悪くなりそうだ。 「行くわよ! フンッ!!」 ドッカドッカと、品性のかけらも無い歩き方で教室へ向かう。 康一は、どっと疲れたような足どりで、肩を落としながらルイズの後を追った。 重い空気の中、やっとのことで教室につく。 康一とルイズが中に入っていくと、先に教室にやってきていた生徒達が一斉に振り向いた。 そして、康一とルイズの姿を見るなり、クスクスと笑い始める。 そんな生徒達を無視して、康一は辺りをキョロキョロと見回す。 教室は、大学の講義室のようだった。 ちょうど、教室の真ん中くらいの所には先ほどのキュルケもいた。 周りには、数人の男が取り囲んでいる。どうやら相当モテるらしい。 よく見ると、皆、様々な使い魔を連れていた。 キュルケのサラマンダーをはじめ、フクロウや、巨大な蛇や、よく分からない謎の生物も沢山いた。 「へぇ~、色んな使い魔がいるなぁ~」 「あんたも使い魔でしょ。まったく、少しは自覚しなさいよ」 ルイズは不機嫌そうな声で答え、席の一つに腰をかけた。 康一も隣の席に座る。ルイズが康一の横っ腹を肘で小突いた。 「イテッ! こ、今度はなに?」 「ここはね、メイジの席。使い魔のアンタは床」 康一は、ムッとしながらも、床に座った。 机が目の前にあって窮屈だったが、康一は我慢する。 そうこうしている内に、扉が開いて、先生が入ってきた。 紫色のローブに身を包んだ彼女は、教室を見回すと、満足そうに微笑んで言った。 「皆さん、春の使い魔召喚は、大成功のようですわね。 このシュヴルーズ、こうやって春の新学期に様々な使い魔たちを見るのがとても楽しみなのですよ」 ルイズは俯いた。 「おやおや。変わった使い魔を召喚したものですね。ミス・ヴァリエール」 シュヴルーズが、康一を見てとぼけた声で言うと、教室中がどっと笑いに包まれた。 「ゼロのルイズ! 召喚できないからって、その辺歩いてた平民を連れてくるなよ!」 キュルケの件もあって、かなり不機嫌だったルイズは、机をバンッ叩いて大きな声で怒鳴りつける。 「違うわ! きちんと召喚したもの! こいつが来ちゃっただけよ!」 「嘘つくな! 『サモン・サーヴァント』ができ……ッ! ッ!!」 突然、ルイズをバカにしていた男が、一言も喋れなくなる。 周りで笑っていた生徒は、突然喋らなくなった男を不思議そうに見ていた。 「フン! 言いたいことがあるなら最後まで言ってみなさいよ、かぜっぴきのマリコルヌ!」 マリコルヌと言われたその男は、反論しようとしたが、声が出なかった。 否、出ないというよりは、防音室にいる時のように、声が全く響かなかった。いくら喋っても、声が届かない。 「みっともない口論はおやめなさい。授業を始めますよ」 シュヴルーズは、こほんと重々しく咳をすると、杖を振った。机の上に、石ころがいくつか現れた。 「私の二つ名は『赤土』。 赤土のシュヴルーズです。『土』系統の魔法を、これから一年、皆さんに講義します」 授業は淡々と進んでいき、康一はその光景をボーっと見ていた。 『火』、『水』、『土』、『風』の四つの魔法があるだとか、『土』系統の魔法は重要だとか、そんな話だった。 「今から皆さんには、『土』系の魔法の基本である、『錬金』の魔法を覚えてもらいます」 シュヴルーズの話を聞いていた康一の横から、ルイズが話しかけてくる。 「ねえ」 「なに~? 今、先生が何かやってるみたいだよ。ちゃんと見なくていいの?」 「そんなことはいいの。あんた、さっき『何か』した?」 「『何か』って?」 「だから……さっき、マリコルヌがいきなり喋らなくなったでしょ?」 康一は、「ああ、あれね」と言った表情でルイズを見た。 「そうだね。何でだろうねぇ~。でもま、静かになって良かったんじゃない?」 「……そうね。ま、いいわ。良く考えたらあんたが何か出来るわけないし」 そう言って、ルイズは再び授業に参加した。 康一はエコーズで、マリコルヌに張り付いていた『シーン』という文字を密かに回収し、 誰にも聞こえないような小さな声で呟いた。 「いくらワガママでも、自分の主人をバカにされるのは、気分が良くないからね……」 「……今、何か言った?」 「何も~?」 康一はとぼけたような声で言った。 ルイズが、康一を怪訝な目で見つめていると、シュヴルーズに声をかけられる。 「ミス・ヴァリエール」 「え……? は、はい!」 「今日はあなたにやってもらうわ。ここにある石ころを、望む金属に変えてごらんなさい」 「え? わたし?」 ルイズは立ち上がらずに、困ったようにもじもじとしている。 その様子を見て、頭に?マークを浮かべながら康一は質問する。 「……行かないの?」 「……」 ルイズは康一の質問を無視し、困った顔をしているだけだった。 なかなか立ち上がらないルイズに、シュヴルーズは再び声をかける。 「ミス・ヴァリエール! どうしたのですか? 早く立ち上がってこちらに来なさい」 しかし、それでもルイズは立ち上がらない。 「ねえ、行かなくていいの?」 その様子を見ていたキュルケが、困ったような声で言った。 「止めた方がいいと思いますけど……」 「どうしてですか?」 「危険です」 キュルケがきっぱりと言うと、教室のほとんど全員が頷いた。 「危険? どうしてですか?」 「ルイズを教えるのは初めてですよね?」 「ええ。でも、彼女が努力家ということは聞いています」 そういう風には見えないけどなぁ、などと思いながら康一はルイズを見る。 「さぁ、ミス・ヴァリエール。気にしないでやってごらんなさい。失敗を恐れていては何も出来ませんよ?」 「ルイズ。やめて」 キュルケが蒼白な顔で言った。 しかし、ルイズは立ち上がった。 「やります」 そして、緊張した顔で、つかつかと教室の前へと歩いていった。 せめて声援は送ろうと思った康一が、ルイズに向かって言う。 「頑張ってねー!」 しかし、周りの生徒たちは「余計なことを言うな」という顔をしている。 皆、何であんなにおびえた表情をしているのかなぁ? と康一は思った。 「ミス・ヴァリエール。錬金したい金属を、強く心に思い浮かべるのです」 こくりと頷き、ルイズが手に持った杖を振り上げた。 唇をへの字に曲げ、真剣な顔で呪文を唱えようとする。 すると、他の生徒たちが一斉に椅子や机の下に隠れた。 何で皆、机の下に隠れてるんだろう? と康一が思った瞬間――。 ドグォンッ! ――大きな音を立てて、机と石ころが爆発した。 爆風をモロに受け、ルイズとシュヴルーズ先生は黒板に叩きつけられた。 「うわあああああっ! な、な、何事!? まさか敵スタンドッ!?」 大きな爆発によって、康一は半ば混乱しながら、ACT2を出して辺りを見回した。 過去に、敵を爆破するスタンドに襲われた康一は、汗をダラダラと流しながら、攻撃に備えている。 もっとも、爆発を引き起こしたのはルイズなので、敵スタンドなど存在はしない。 そうこうしてる内に、驚いた使い魔たちがあっちこっちで暴れていた。 キュルケのサラマンダーがいきなり叩き起こされたことに腹を立て、炎を口から吐いた。 その炎で、マリコルヌが黒焦げになった。 マンティコアが飛び上がり、窓ガラスを叩き割り、外に飛び出していった。 割れた窓ガラスのシャワーがマリコルヌに全部突き刺さった。 「うわあああッ! そ、そこにいるのかッ!?」 窓ガラスの音に反応し、康一がACT2の音攻撃をする。 バゴーンという文字は、不幸にもマリコルヌに命中した。 口から血ベトを吐いて、痙攣するマリコルヌ。 駄目押しと言わんばかりに、割れた窓の隙間から入ってきた大蛇が、マリコルヌを飲み込んだ。 教室が阿鼻叫喚の大騒ぎになる。教室の隅では、丸飲みにされたマリコルヌの救出活動が行われていた。 「だから言ったのよ! あいつにやらせるなって!」 「ええい! ヴァリエールなんて退学になればいいんだ!」 「マリコルヌーッ! しっかりしろーッ! 食われちゃいかーんッ!!」 康一は呆然としていた。 誰かの攻撃かと思っていたが、生徒全員が口を揃えてルイズの文句を言っている。 つまり、さっきの爆発はルイズの仕業である可能性が高い。 至近距離で爆発に巻き込まれたシュヴルーズ先生は、ピクピクと痙攣している。 何やらうわ言で「ビ・チ・グ・ソ・が……」と言っているような気がしたが、康一は聞かなかったことにした。 一方、爆発を引き起こした張本人であるルイズは、煤で真っ黒になっていた。 ハンカチを取り出して、顔についた煤を拭うと、淡々とした声で言った。 「ちょっと失敗みたいね」 当然、他の生徒達からは猛然と反撃を食らう。 「ちょっとじゃないだろ! ゼロのルイズ!」 「そうだ! お前のせいで、マリコルヌが…マリコルヌがなぁ……!」 「いや、マリコルヌは生きてるぞ」 康一は、何でルイズが『ゼロのルイズ』と呼ばれて、バカにされてるのか理解した。 シュヴルーズ先生――この後、治療を施された。 マリコルヌ――再起不能。 To Be Continued →
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前ページ次ページゼロのミーディアム 何度も失敗した末、ついに使い魔の召喚に成功したかと思われたルイズ。しかし現れたのは まきますか? まきませんか? と、書かれた謎の契約書。 流石に困惑を隠せないルイズだがそれは今回のサモン・サーヴァントを受け持ったコルベールもまた同じだった 「姿を見せる前に契約を求めるなんて…先生、今までにこんなことって…」 「いや、こんな前例は…なんとも面妖な…」 通常サモン・サーヴァントでは使い魔となり得る者が直接呼び出される。 姿を見せずにいきなり契約を迫るケースは未だかつて無いことだ 「あの、先生…やっぱり私、これに契約しなきゃいけないんですか…?」 ルイズは不安を隠せなかった。しかし無理もない。基本的にサモン・サーヴァントにおいて使い魔との契約に二度目は無い。 何者であろうと呼び出した者と契約を結ぶのが掟なのである。失敗する以外にやり直しは許されないのだ。 「ミス・ヴァリエール。先程説明したが春の使い魔召喚の儀式のルールはあらゆるルールの中で侵すことのできない最も神聖な物の一つ。 出てきたものが何であれ例外は認められない… …が、今回ばかりはそうも言ってはられないか…」 険しい顔を崩ししコルベールはため息をついた 「と言うことは…」 「これまでに無い事態の上に得体の知れないことが多すぎる。 儀式のやり直しも認めよう。まあ最終的な判断は君に任せるがね」 「儀式のやり直し…」 確かにこのままコントラクト・サーヴァントを行うのは危険かもしれない。 あまり考えたくないが契約後、凶悪な悪魔を呼び出した末に魂を取らる等の可能性もありえる。 やはりやり直すべきか… 「なんだ?また結局失敗かよ!」 「あんだけ派手にやっといて…さすがゼロのルイズよね!」 「はいはい、ルイズルイズ」 ルイズは周りの好き勝手な物言いに腹が立った (今回は失敗したんじゃないのに!) …そう、儀式は失敗した訳では無い 何者かは確かに自分の呼び掛けに答えた それもこんな特殊な方法で契約を求めてくるような使い魔なのだ、ただ者ではあるまい もしかしたら自分の望んだ強大な力の持持ち主なのかもしれない ――腹は決まった 「いいでしょう、結ぶわ…この契約!」 「良いのだね?一度契約したが最後、後戻りはできないのだよ?」 「ヴァリエール家の三女たる者何が来ようとも後ろは見せません!」 「…わかった、君の意見を尊重しよう」 ルイズは懐から羽ペンを取り出し周りの生徒達を見回す 「見てなさい!アンタ達ををアッと言わせてやるんだから!」 そして「まきます」をに○をつける ――契約は結ばれた 「…何も起こらないじゃないの」 そう、何も起こらなかった。 天が割れ巨大な竜が光臨することもなく 地が裂け荒ぶる巨人が現れることもなく 澄み切った空には鳥が鳴き大地は爽やかな風が草木を揺らしている 肩すかしを食らった気分だ。何かの悪い冗談だと思いたい 「…また失敗なのね」 落胆を隠せないルイズ あれだけ大見得きってこの様とは… また皆の笑い物になるのかと思った矢先―― ドサッ 何かが落ちた音 振り返ってみるとそこには一つの鞄が… ルイズはおろかルイズを見ていた周りの生徒やコルベールすらどこから現れたのか気づかなかった ルイズは突然の鞄の出現に戸惑いを隠せなかった。だが契約をした後に現れたのを見ると… 「これが…私の使い魔?」 見た目は変哲もないただの鞄のようだ 不安ではあるがルイズは鞄に手をかけた。後ろではコルベールが待機し、不測の事態に備えている (何を迷ってるのルイズ?もう後戻りは出来ないのよ!) 自分に言い聞かせそして意を決しついに鞄を開けた!! 「出てきなさい!私の使い魔!!」 ――鞄の中には一人の少女が眠っていた 「これが私の使い魔…」 その少女は流れるような銀色の髪に雪のような白い肌、 服は黒を基調とした優雅なドレスを纏い静かに横たわっていた だが一番目を惹いたのは… 「黒い…翼……!!」 。まるで天使、いや、堕ちた天使を思わせる一対の黒翼。 自分は堕天使を召喚してしまったのか!? しかし起きる様子がまるでない。 不穏に思いそっと抱き上げてみる。ルイズよりもさらに小柄な少女だったが… 「この子…息してない!心臓も止まってる!?」 「ル、ルイズが…ルイズが堕天使の死体を召喚したぞ!」 「何呼び出してんだ!」 「なんて罰当たりな!」 ルイズはおろか他の生徒までパニックになり辺りは騒然となった そんな中コルベールだけがルイズに悠然と歩み寄りルイズの抱いている少女を調べ始めた 「これは…安心するんだミス・ヴァリエール、落ち着きたまえ。 君が呼び出したのは天使の亡骸などではないよ。これを見てみるんだ」 コルベールが少女の袖を上げ腕の間接部を見せる 「球体型の間接…ってことはこれは人形!?」 「ああ、そのようだね。見たまえ、ここにネジもある」 まきますか?まきませんか?とはこのことだったのだろう。 「これが人形だなんて…?肌なんか人間のそれと全く変わらないわ」 人形の頬に手をあてルイズは呟いた 「さあ、このネジを巻くんだ。恐らくはそれで動き出すのだろう」 「はい」 後ろの首元にあるネジ穴にネジを入れ何度か巻いてみる 「…うわっ!」 直後人形は紫色の妖しい光に包まれ、ルイズは思わず手を離してしまった しかし人形は倒れること無く自らの足で大地に立つと 俯いたままぎこちなさそうに一歩一歩ゆっくりと歩き始た そして俯いた顔が上がり遂にその瞳が開かれる 紫色の瞳をした鋭い眼孔そして―― 「…64万、4690時間と16分ぶりの目覚めね…」 どこか艶のある少し低めの声で人形は呟いた 前ページ次ページゼロのミーディアム